暁 〜小説投稿サイト〜
フルメタル・アクションヒーローズ
第139話 俺と貴様の最終決戦
[6/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


 そんな俺の視線を受けた瀧上は、首から手を離すと、そこから火花を飛び散らせながら両拳を静かに構えた。
 どうやら、自分の首にばかり構っている場合じゃないと、気配で悟ったらしい。意識障害に陥り、「新人類の身体」にとっての死の淵に立たされながらも、注意すべきものを見誤らない辺りはさすがと言うべきか。

「フゥーッ、フゥー……!」

「……ゴォ、ゴォーッ、コォーッ……!」

 少し踏み込めば、突きも蹴りも簡単に届く間合い――「一足一拳(いっそくいっけん)」の距離の中で、俺達の動きは再び静寂に包まれる。

 生か死か。
 勝者となるか、敗者となるか。
 どちらに、どのような結果がもたらされるのか。

 その答えを出すためだけに、俺達はここに居る。
 どちらの狂気が、この沈み行く空間の中で存在を許されるのか。全ては、その裁断のために。

 そんな俺達を包囲しているのは……グランドホールに轟き続ける、海水の濁流と落石のシンフォニー。そのけたたましい音色は、引っ切り無しにこの世界を揺るがし続けていた。
 だが、俺達がそのような瓦解のオーケストラに気を取られることはない。

 どれだけ近くに瓦礫が落ちようが、どれだけ足元を海水が浸そうが、今の俺達には無縁な話だ。
 俺の目では瀧上しか見えないし、瀧上の目でも俺しか見えていない。互いの視線に、割って入る何かなど、ありえないのだ。

 だからこそ。邪魔が許されない世界の中に居るからこそ。

 俺達の視界を、小さな瓦礫が垂直に横切った瞬間。俺達は、俺達だけの世界が砕け散る錯覚に陥り――

「……ウォアァアアタァアァッ!」

「……ガォアァアァアァアァアッ!」

 ――均衡を保っていた静寂すらも、打ち砕いてしまったのだ。高尚に例えるならば……聖域を荒らされ、怒り狂う守護神のように。

 互いに踏み込む瞬間、周囲の瓦礫が逃げるように舞い散り、水しぶきが上がる。それら全てを突き抜けて、瀧上の剛拳が槍の如く襲い掛かった。
 今までのどんなパンチよりも重く――速い。風を切る轟音が、それを物語っている。

 間合いを詰める俺に対し、迎撃するように放たれたその一発は、こちらの顔面を確実に捉えていた。
 まともに喰らえば、頭蓋骨が砕かれるどころではない。頭そのものが、消えてなくなってしまうだろう。

 そんな結末だけは、避けねばならない。身体のどこかを、犠牲にしようとも。

 そして、そのための生贄に……俺は左腕を選んだのだった。

 瀧上の鉄拳が俺の顔面を消し去る直前、その身代わりになるように左の外腕刀が飛び出していく。この剛拳の流れを、掠めるように。
 本来ならばこれは、相手の拳を受け流し、いなすための技。しかし、この有り余る筋肉では、そのような精度
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ