第135話 強襲、ヤークトパンタン
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している「新人類の巨鎧体」も含まれている。
……この中で、俺の助けが必要な娘がいる。なら、俺は行かなくちゃならない。
今度こそ、レスキューヒーローの意地を見せてやるッ!
「待て龍太君ッ! もう高電圧ダガーが起動する時間だ! 今向かったら命はないぞッ!」
遥か向こう側の安全地帯にいる古我知さんが警告を発している――が、俺は聞く耳を持たず、プールに飛び込んでいく。
……いや、聞いたところで俺の判断は変わらない。
確かに今は彼の言う通り、「新人類の巨鎧体」に近づくべきではない。今まさに爆発しようとしているロボットに自分から突っ込むなど、愚の骨頂だろう。
俺の向かう先に助けるべき人がいないのであれば、俺も大人しくしていた。今こうして動いているのは、俺が必要とされているからなんだ。
さっきは果たせなかった責任を取り返すには、今しかない。何もやらずに黙って彼女が消し飛ぶ様を見ていることを選んでしまったら、この右手の赤い腕輪は飾りになってしまう。
「いた……! 四郷ッ!」
瓦礫と海水で満たされた、全てを飲み込まんと渦巻く暗黒の世界。その彼方に見える、薄い水色の長髪を靡かせた機械少女の頭部。
それが手に届く瞬間まで、俺は逃げ出すわけにはいかない。俺自身が支えたいと願った、あのスーパーヒロインの理想のためにも。
俺は水を蹴り、掻き分け、海中を漂う四郷の首を目指す。
着鎧甲冑に搭載されている、水中移動用の小型ジェットを使用しながら泳いでいるはずなのだが……「新人類の巨鎧体」がもたらした波紋が渦潮を起こしているのか、思うように直進することができない。
下手に巻き込まれたら余計に時間を浪費してしまい、古我知さんの忠告が実現してしまうことになる。そんなカッコ悪い事態を回避するべく、俺は着鎧甲冑の機能より己の身体能力に可能性を懸け、四郷の元へ向かっていく。
――もう少し。あと僅か。
そんなところまで差し迫った時、俺は彼女のサイドテールを思い切り掴み、強引に引き寄せる。少々手荒な気はするが、今は彼女の命が先決だ。
瀧上さんがどうなっているのかまでは暗すぎてわからないし、「新人類の巨鎧体」の状況は、水中でぐったりと漂っている姿しかよく見えなかった。だが――悲鳴も出さず、苦悶の表情も見せていない彼女の面持ちを見るに、長い生き地獄から解放されたことだけは間違いないように思える。
「……」
俺は無言のまま、白目を剥いたままだった彼女の瞼を静かに降ろし、自然な形の眠りへと導く。まだ血の涙のような液体は出続けているようだが――今の俺にできることは、これだけだ。
瀧上さんの安否も気になるところではある……が、今は脱出を第一に考えた方が良さそうだな。
俺は四郷の首を優しく抱え
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