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フルメタル・アクションヒーローズ
第135話 強襲、ヤークトパンタン
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クラウチングの姿勢で着地していた俺は、間髪入れずに地面を蹴り――矢村目掛けて疾走する。

 刹那、すぐ後ろから猛烈な轟音が襲い掛かり、俺が走っている足場を坂道に変えていった。

 「新人類の巨鎧体」が、俺の背後に墜落したのだろう。狙い通り、あの巨体は瓦礫の山を突き破り、その下のプールと化したアリーナへ水没しようとしているのだ。
 作戦成功、と言うべきなのだろう。その煽りで俺達が死なない限りは。

 巨大ロボットの質量に押し潰された瓦礫の山々は、波紋のように広がり、周囲を海水と破片で飲み込んでいく。そう、俺の足場も例外ではない。
 ましてや、俺はその震源地の傍にいたのだ。「新人類の巨鎧体」の墜落がもたらす衝撃波の影響を、モロに受けることになる。
 俺は背中に浴びた空気の壁を追い風にして、波状と化した瓦礫の海を駆け抜けていく。走っているというより、ほとんど後ろから吹っ飛ばされているようなものだ。

 一方、矢村も衝撃のせいで安定を失い、四つん這いの体勢のまま動けずにいた。あのままじゃ、すぐに海水と瓦礫の濁流に飲まれてあの世行きだ。

「――や、むらァァァァアッ!」

 彼女を死なせたくない。どうか、生きていて欲しい。そんな懇願を込めた叫びと共に……俺は彼女の居場所へ飛び掛かる。
 そして、舞い散る瓦礫に追われながら、彼女の小さな身体を抱きしめ、その場から逃げるように再び跳び上がった。

「ふうッ……!」

 ついさっきまで矢村が這っていた場所は、俺達が離れてすぐに濁流に飲み込まれていた。俺の移動が少しでも遅れていたなら、例え瀧上さんに勝ったとしても、レスキューヒーローとして大手を振って帰ることは出来なかっただろう。
 がむしゃらに宙に舞い上がった俺達を出迎える、影響の少ない安全な足場を見ても、安堵感を覚えることはなかったはずだ。

「いっ……て!」
「きゃあ!」

 無事に矢村を助けられた。その束の間の安心が災いしたのか、俺は安定した瓦礫の上に着地した途端に、勢いあまって転んでしまう。矢村を正面から抱きしめた格好で、咄嗟に彼女を守るために仰向けに倒れたのが功を奏したのか、彼女自身に怪我はなかった。

「し、死ぬかと思うた……。りゅ、龍太、大丈夫!?」
「……ああ、なんとかな。矢村、お前はもうここから動くんじゃないぞ。ここなら安全だからな」
「えっ……ちょ、龍太ッ!?」

 ――だが、これで終わりじゃない。まだ、矢村に負けないくらいに肝心な娘が残っている。

 俺は彼女に安全な足場で待機するように言い渡してから、即座に踵を返して来た道を戻る。
 ひとしきり瓦礫と海水を撒き散らし終えていたアリーナは、コンクリート製の残骸と塩水で絶妙にブレンドされたプールに成り果てていた。その材料の中には、当然水没
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