第134話 ありえない伏兵
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の巨鎧体」に捕まっていたのだ。あの鉄拳を跳び上がり、回避したと思っていたところを狙われて。
恐らくは、初めからパンチをかわされることは読んでいたのだろう。身体そのものの移動速度がブースターにより上昇している点を除けば、そこまで動きが敏捷ではない「新人類の巨鎧体」が俺を捕らえるには、行動を先読みした上で動くしかない。
片腕で出した拳を避けさせて、そこをもう片方の手で捕まえる。作戦と呼ぶにも値しない程の、単純過ぎる罠。
そんなものに、俺は引っ掛けられていたのである。敵の巨大さに惑わされるあまりに。
俺の身体を握り締めている「新人類の巨鎧体」の手は、やはり尋常ならざる力を発揮していた。どれだけ全身に力を込めても、身じろぎ一つ満足にできない。
――あんな古典的過ぎる引っ掛けに躓いて、作戦がおじゃんだなんて……酷すぎんだろ。
あまりにもふがいない自分自身に、呆れて物も言えなくなる。何が責任を果たす、だ。
「とうとう捕まえたぞ……随分とちょこまかと逃げ回ってくれたな」
もはや勝負は決したようなものだというのに、瀧上さんの様子に落ち着いた雰囲気は見られなかった。こんな小僧に振り回されたこと自体が、相当プライドに障ったらしい?
両手でしっかりと俺を握り締めた「新人類の巨鎧体」は、怒りを解き放つように胸部のハッチを轟音と共に解放していく。
そこから現れたのは――あの、全てを焼き尽くす火炎放射器。
アリーナを目前にしたところで、俺をジューシーに調理しようってのかよッ……!
古我知さんはここぞってところで捕まった俺を見て、悔しげに目線を逸らしている。どうやらこの状況では、瀧上さんを始末するには材料が足りないらしい。
――俺は犬死にってことかよ! くそったれッ……!
この戦いに終止符を打てるはずだった。もうすぐ、四郷を彼から解放出来るはずだった。その望み全てが今、打ち砕かれようとしている。
たった一瞬の、俺自身の油断のために。
仮面の奥で唇を噛むことしか許されない。そんな理不尽が通ってしまうのが戦いの道理なのだと、俺は今さらになって理解した。
巨大な敵に協力して打ち勝つなんて、フィクションでしか有り得ないことだったのか? 所詮強い奴だけが生きて、そうじゃない奴はみんな死んじまう結末こそが、変わりようのない真理だってのか?
「――消し飛ばしてやれ。これで、全てが終わる」
それを問うことすら許されないのか、瀧上さんは既に四郷に俺を処刑する命令を下していた。
「ア、アア……イヂ、レ……ニ、ゲ……!」
……わかっていたことだ。彼女に拒否権はない。恐怖に心を支配され、意志と呼べる意志全てを奪われた四郷には、引き金を引く以外の選択は与えられてはいなかった。
それでも、懸
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