第133話 ファーストキスに覚悟を込めて
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緒じゃなけりゃ、ここを出る意味はないんだ。まだ作戦が失敗したと決まったわけじゃないしな。
「なんで……? なんでなん? なんで龍太が、そこまでせないかんの!? だって龍太、正式に資格持っとるわけでもないのにッ……!」
「まぁな。確かに俺は、茂さんや救芽井と違って資格は持ってない。『救済の超機龍』を任されてんのも、この計画のためだけにってとこだろう。それでも、現実に『力』を託されてはいるんだ。その責任に背いちゃうのは、何か違う気がする」
「その責任を、誰のために取るって言うんや!? 救芽井の……ため?」
「そんなところ、かな。あいつのためだし、あいつの夢を助けたいっていう、俺の自己満足のためでもある。――そして、お前をここから無事に助け出すためだ」
しかし、矢村はどうしても俺を行かせたくないらしく、あれこれと理由を追及してくる。
俺が「救芽井のため」と口にした途端、肩を落として俯いてしまったのが気掛かりだが……今は、彼女の希望に添ってばかりはいられない。
巨大な鋼鉄の足が起こす地響きは、確実に大きなものになりつつある。もう数分も経たないうちに、ここも瀧上さんと四郷に掘り起こされてしまうだろう。
そうなったら、いやがおうでも作戦を決行することになる。その隙に矢村を逃がさなければ、彼女の命はない。
全ては、俺の陽動に掛かっている。こればっかりは、失敗は許されない!
「……なぁ、龍太。言わして貰っても、ええ?」
その時、俯いたままの彼女が、弱々しい声で呟いた。心なしか、その声色は僅かに上擦っているように感じられる。
「ああ、なんでもどうぞ」
俺は彼女とは目を合わせず、黙って俺達を見守っていた古我知さんと同様に「新人類の巨鎧体」を凝視したまま、その言い分に耳を傾ける。どうせ今さら何を言われようと、俺のすることは変えられない。なら、せめて文句の一つくらいは黙って聞いてやらないとな。
――しかし。
「アタシな。龍太のこと、好きやで」
その「文句」は、俺の予想を遥か彼方まで超えていた。
「なっ……!?」
思わず、「新人類の巨鎧体」から視線を外してしまう。この期に及んで、彼女は何を!?
「中学ん時に、あんた、緊張しとったアタシのこと、励ましてくれとったやろ? あん時はまだ、あんまり意識はしとらんかったけど……」
「……」
「何となしに一緒におるうちに、どんどんあんたと過ごす毎日が楽しくなって。あんたがアタシを庇って、病院送りにされた時はすんごく辛くて。いつも傍におってくれるあんたの横顔に、何か知らんうちにドキドキしとって。……そんで二年前、救芽井に初めて会った時に、チクッとして。そこで、やっとわかったんや。アタシ、初めて会った時からずっと、こいつが好きやっ
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