第131話 方言少女と改造人間
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と全く同じ声を持っていることといい、あまりにも不審な点が多過ぎる。
今までは正体を探るどころじゃなかったし、手助けしてくれるならそれでいいと割り切っていたが――やはり味方であると言っても、知らないままでいいとは思えない。
松霧町で初めて会った時に、線路へおばちゃんを落としたり、茂さんに「救済の超機龍」のことを吹き込んだり。何が目的なのかもわからないまま、そんなことをやっていた人を素直に信用するわけにはいかないだろう。
……だが、矢村の方は特に訝しむ様子も見せず、「必要悪」の指示に淡々と従っている。こういう得体の知れない相手には、一番怪しがるタイプのはずなのに。
もしかして――俺が寝てる間に、何か事情でも聞いたのだろうか?
「――よし。これで当分は持つね。バッテリーを吸い尽くしたから、R型の方はすっからかんになっちゃったけど」
「しゃあないやん。命には代えられんって」
「ふふ、ありがとうね。さすが龍太君の奥さんなだけあって、気立てがいい。樋稟ちゃんも随分と大人っぽくなったと思うけど、君のように相変わらずな娘も捨て難いよね」
「ちょッ! ま、まだ奥さんとか、そ、そこまでは言っとらんし……! あと、相変わらずは余計やッ! あんたに言われてもちっとも嬉しくないんやけんッ!」
どうやら俺がいない間に、二人はそれなりの信頼関係を築いていたらしい。あの矢村がここまで気にかけているのだから、決して悪人ではない……と思いたい。
だが、何も知らないままでいるわけにも行かない。これからもう一度瀧上さんに挑むとするなら、なおさらだ。
「心臓維持装置だかなんだか知らないが……そろそろ、あんたのことを詳しく教えて欲しいもんだ。聞くところによると、瀧上さんと戦う道理はあんたにもあるんだってな。何が狙いであんたはこの場に?」
少々突っ掛かるような物言いになってしまったが――下手に出てはぐらかされるよりはマシだろう。
「そうか……そうだね。これから一緒に戦うんだ、君にも腹を割って話さなきゃフェアじゃない。矢村ちゃんにも、一通り説明したところだしね。でなきゃ、電力供給なんて絶対に手伝ってくれないし」
「あ、あんなぁ龍太。この人は――」
「大丈夫だ、心配しなくていい。四郷君を助けることに繋がるなら、彼にとっても不利益にはならないはずなんだから」
俺から「必要悪」を庇うように、矢村はか短い腕を目一杯広げようとする。そんな彼女を片手で制すると、彼は上体だけを起こしている俺の前で膝立ちの格好になり、仮面越しにこちらと視線を交えた。
「やはりあの時とは違う……。僕が思っていた以上に、君は逞しくなっていたらしいね。龍太君」
「――やっぱり。あんたは……!」
そして、彼は品定めするように俺を一瞥し
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