第130話 グランドホールの戦い
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れずにいた時、俺の右手に振動が伝わる。
これは……通信?
「こちら『救済の超機龍』……もしかして救芽井か?」
『龍太君ッ!? 良かった、無事だったのね!?』
「そっちこそ、な。エレベーターが中身まで破壊されなくて良かったぜ。もっとも、あの壊れっぷりじゃあもう使い物にはならないだろうけどな」
右手に嵌められている「腕輪型着鎧装置」の通信機。そこから飛び出してきたのは、切羽詰まった様子の救芽井の声だった。
『そう、ね……。でも良かった! さっきの攻撃で、あなたに何かあったらどうしようって……! ああ、良かった、本当に……!』
『龍太様ッ! 鮎美さんがおっしゃるには、あの下衆な鉄屑を保管していた格納庫に、地上へ繋がる螺旋階段があるとか! なんとかそこから脱出してくださいましッ!』
『無論、鮎子君も一緒にだぞ一煉寺龍太ッ! 貴様にしか彼女を救うことは出来ぬということを、肝に命じておけッ! あの「必要悪」とか言う、素性の知れぬ者にばかり頼るでないぞッ!』
心配げに声を震わせる彼女以外の声も、やかましい程に響いて来る。どうやら、エレベーターに逃げ込んだみんなはちゃんと脱出出来ているらしい。
地上の階まで出れば、後は政府の介入を待つだけ。ここで俺が四郷を取り返し、所長さんの寝室にあった彼女の生身を回収出来れば、四郷を復活させられる見込みもあるかも知れない。
……いずれにせよ、あの「新人類の巨鎧体」をなんとかしなくちゃどうにもならないんだけどな。
『――って、救芽井さんッ! 龍太様のこと以外にも大事なことがあるでしょう!? あなた何のために戦の最中の殿方に通信しておりますのッ!?』
『あぁっ! そ、そうだった! き、聞いて龍太君ッ! 大変なのッ!』
その時、久水の謎の指摘を受けた救芽井が血相を変え、まくし立てるような口調になった。何か他にも問題があるらしいが、正直それは後にしてほしいところだ。
――「新人類の巨鎧体」が、今にも突っ込んで来そうなんだからッ!
「悪いが、ちょっと後にしてくれ! こっちも割りとヤバい状況に――」
「矢村さんが、矢村さんが居ないのッ!」
……え?
その発言に俺の身体は凍り付き、「新人類の巨鎧体」から思わず視線を外してしまった。
「龍太君ッ!?」
辺り一体を飲み込む火炎と、全てを砕く鉄拳が迫っている事実に、気づかないまま。
「――あッ!?」
「必要悪」の叫びで、俺の意識がこの絶望的な現実に引き戻された時には、全てが遅かった。しっかり「新人類の巨鎧体」を見据え、その動きを見切っていた彼とは、大きな差が生じていたのだ。
回避のタイミングを完全に見誤り、「矢村がエレベーターに乗っていない」という話に気を取られていた
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