第130話 グランドホールの戦い
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浸水によりプール状態どころか、客席にまで海水が及んでいるアリーナ。瓦礫が引っ切り無しに降り注ぎ、もはや廃墟と化しつつある地下室の全体。
これら全てを一望できている理由は……考えるまでもない。
「おわぁああッ!?」
程なくして、俺は腕の上から振り落とされてしまい、空中に投げ出されてしまった。
……ただ飛ぶだけで、俺が落とされるわけがない。恐らく「新人類の巨鎧体」の飛行能力には、ある程度の軌道修正ができるシステムがあるのだろう。飛びながら左右に身体を振られたら、「救済の超機龍」だって堪ったもんじゃない。
再び二本の火柱を噴き上げて、スペースシャトルの如く舞い上がる「新人類の巨鎧体」。その姿を見上げながら、俺の身体は頭から落下していく。
「龍太君ッ!」
そんな俺を墜落死から救ってくれたのは「必要悪」だった。彼の叫びが聞こえた時、俺は既に彼に抱き抱えられていたらしい。
彼は空中で俺を受け止めても全く体勢を崩さずに、ふわりと瓦礫の上に着地して見せた。
「危なかったね。あの迎撃を乗り越えた手並みは見事だったけど……ジェット機能を新たに備えていることを忘れちゃいけない」
「あ、あぁ……。助かったぜ、ありがとな」
「必要悪」は俺の礼には反応せず、ただ真っ直ぐに「新人類の巨鎧体」を見上げている。礼を言うにはまだ早過ぎる、ってか。
一方、「新人類の巨鎧体」は再び天井ギリギリまで飛び上がり、今度は胸板の火炎放射器を展開したまま、急降下の姿勢に突入しようとしている。
あの速度と質量による突撃。さらには、広範囲に渡る火炎放射。この一撃で俺達を本気で始末するつもりであることは、「文字通り」火を見るより明らかだろう。
さっきと同じタイミングでかわそうとすれば、広範囲を焼き尽くす火炎放射の餌食。逆に早過ぎても、軌道修正で追い掛けて来る可能性がある。それで追いつかれたら、今度こそぺしゃんこだ。
――ちょっとした博打だぜ、こりゃあ。
「ア、アア……イヤァ……ヤメデ……ヤメ、デェエ……!」
「堪えろ、鮎子。正義の味方とはこういうものだ。お前も憧れたんだろう? ヒーローになりたかったんだろう? この力が、欲しかったんだろう?」
掠れた声で抗い続けている四郷。そんな彼女の首の断面を弄り、彼女をしきりに追い詰める瀧上さん。あそこに手が届かない自分の非力さに、ヘドが出る……!
唇を切れそうな程に噛み締め、俺はそれを見ていることしかできない。そんな俺があの娘を救おうだなんて、おこがましい妄想でしかなかったのかよ……!?
拳を震わせても、歯を食いしばっても、この自分自身への憤りが、収まることはなかった。
この状況を覆すには、彼女を救うには、どうすればいいのか。その手段を見付けら
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