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フルメタル・アクションヒーローズ
第130話 グランドホールの戦い
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の怒り。やるせなさ。その全てを混ぜ合わせた激情を押さえ込める程、俺は大人ではなかった。
 血も内臓も吐き出すくらいの勢いで上げた雄叫びと共に、俺は一気に体重を前方へ傾け――床を蹴り付ける。

「龍太君ッ! 迂闊に正面に出るなッ!」

 ……「必要悪」の言うことは、正しい。恐らく健在であろう「火炎放射器」が待ち受けている、「新人類の巨鎧体」に頭から突っ込むなど、愚の骨頂どころじゃない。あのロボットの危うさを知っているなら、なおさらだろう。

 それでも、そんな理屈じゃ覆せない「約束」が、俺を突き動かしていたのだ。四郷を助けると、俺は約束したんだから。――このスーツをくれた、救芽井と。

「四郷をあそこから引っぺがしさえすればッ!」

 狙うは、コックピットに見える四郷の首。俺は「新人類の巨鎧体」の眼前で屈み込み、その反動を利用して一気に跳び上がる。

「鮎子、やれ」
「ア、アア、ニ……ニゲ、テ……!」

 相手も、真っ直ぐ向かって来る敵を無視する程バカじゃない。俺を捕まえようと、巨大な両手を広げて襲い掛かって来る。胸の長方形の装甲を開き、火炎放射器らしきモノを露出させながら。
 ――手で掴んで捕縛しておいて、ジューシーに焼き殺すって算段なんだろう。ビデオで嫌という程見せ付けられた手法だ。

 もちろん、そんな見え透いた手に引っ掛かるつもりはない。俺は左右から迫る掌のうちの片方を蹴り、その反動でもう片方の掌を飛び越え、腕の上に転がり込む。
 そのまま俺を捕まえようとして伸びきっていた腕を駆け上がり、コックピットへまっしぐら。巨大な両手は見事に空振り、全てを焼き尽くさんと放たれた火炎放射は、何も掴んでいない手だけに直撃していた。

 ……そして、回避していても背中に伝わる強烈な熱気は、火炎放射器の残酷なまでの威力と攻撃範囲を、如実に物語っているようだった。

「ムッ……!?」

 まさか腕に飛び乗って来るとは思わなかったのか、瀧上さんにしては珍しく、あたかも動揺するような仕種を見せている。
 ――この機を逃す手はない。四郷を掴んでる瀧上さんの手を速攻で蹴り、彼女を解放するッ……!

 その決心だけを頭に入れ、俺はコックピットに向けてラストスパートに入る。四郷の元にたどり着くまで、あと僅か――

「……飛べッ! 鮎子ォッ!」
「アガ、イ、ヤ、ァアアァアッ!」

 ――という時だった。

 腕の上を走っていた俺は、突然襲ってきた足場と空気の揺れに流され、平衡感覚を失ってしまったのだ。

「なっ……!?」

 思わず立ち止まり、膝をついてしまう。一体、何が起きた!?

「まさか……!」

 その答えは、腕から見下ろせる、瓦礫と海水だらけのグランドホールの光景が示していた。
 激しい
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