第129話 ドラッヘンファイヤーとして
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て四郷を今すぐ助けたいってのは、単なる俺のワガママだ。言われるまでもなく、全力でよろしくやるつもりだぜ。俺は」
その伊葉さんからは、四郷のことを頼みたいという旨の言葉しか聞けなかったが……まぁいい。少なくとも「必要悪」は味方だっていう情報だけで、今は十分だからな。
「――龍太君、気をつけて。パイロットが意識の薄い鮎子である以上、凱樹が思うような性能は発揮できないでしょうけど……『新人類の巨鎧体』自体が十年前のものより格段に性能が上がってるし、あの様子じゃ相当な暴走を起こしかねないわ。……ここが水没するのも時間の問題だし、ゆっくり作戦を練ってる余裕はないと思って頂戴」
すると、今度は所長さんの声が響いてきた。茂さんの説得の甲斐あってか、かなり声色に落ち着きが戻っている。
にしても、性能が十年前よりさらに――か。勢いでここまで来てしまったはいいが、かなり詰み状態っぽいな、俺。
「性能が上がってるって……あれ以上に武装が増えてたりするのか!?」
「それは――来たッ!」
「――ッ!?」
彼女にその性能とやらを訪ねようと、俺が僅かに後ろを向いた瞬間。
そこ狙ったようなタイミングで、遂に鉄人に動きが現れた!
「ア、アァアアァアアアァアアーッ!」
耳を塞ぎたくなるような金切り声を上げて、四郷が血を吐くような勢いで叫ぶ。
それと同時に、「新人類の巨鎧体」が巨大な鉄拳を振り上げ――空へ飛んだ!?
「なッ!?」
「ロケットエンジンによる飛行能力ッ……!?」
十年前の映像からは想像もつかない動きと共に、十メートルにも及ぶ鋼鉄の巨人は、この広大な地下室の天井ギリギリにまで舞い上がったのだ。その巨体に似合わない挙動に、「必要悪」が珍しく驚きを露わにしていた。
――そう。奴は「飛んでいる」。全てを焼き尽くさんと噴き出す、二本の火柱を背にして!
これが、現代の「新人類の巨鎧体」の能力……!?
「――いけないッ! あそこから叩き潰すつもりだわッ! エレベーターの起動、急いでッ!」
そして、所長さんが焦燥感に充ちた叫び声を上げると共に――
「オネェ……ヂャ……アァアァアアァアアァアッ!」
――少女の絶叫を乗せた破壊の鉄槌が、俺達二人と他全員を乗せたエレベーターに向け、容赦なく打ち出された!
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