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フルメタル・アクションヒーローズ
第129話 ドラッヘンファイヤーとして
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巻き込むわけには行かん。

 こういうことは、考え出した奴が一番にやらなくちゃならないことだからな……!

 俺は救芽井の肩を掴んで強引に身体を旋回させ、そのまま人だかりでごった返しているエレベーターに向けて突き飛ばす。少々強引だが、『新人類の巨鎧体』が目前に迫っている以上、彼女の了解を取っていられる余裕もない。

「あ、ちょっ、ちょっと龍太君ッ!?」

 狼狽した様子の彼女の声を背に受けて、俺は「新人類の巨鎧体」と向き合う体勢になる。客席とアリーナの高低差のおかげか、コックピットとの目線の高さはそこまで離れてはいなかった。

 俺の隣に立つ「必要悪」も高電圧ダガーを構え、臨戦体勢に突入している。

「龍太君、龍太君ッ!」
「……静かにおしッ! 救芽井さんッ! あなた婚約者を自称している癖に、殿方の覚悟も信用出来ないざますかッ!?」
「な、なによ! あなたになにがわかっ――!?」
「ひぐっ、うっ……龍太様が……龍太様が、鮎子を救われるために、戦うと決意されたのでしょう……!? ならば、ワタクシ達に出来ることは……あの方の勝利を祈ることだけではありませんかッ! 良き妻とは、良き妻とは、そういう、ものッ……!」

 ――どうやら、救芽井のことは久水が鎮めてくれたらしい。後ろから聞こえて来る健気な涙声が、彼女の胸中を如実に物語っている。

 ……大丈夫だ、久水。お前の親友は、絶対に助けてやる。目の前で苦しんでる女の子をほっぽらかして、何が正義の味方じゃい。

「龍太君! 『必要悪』! 何をしている、早くエレベーターに乗るんだ!」
「――甲侍郎。彼らには各々の戦うべき理由がある。君もよくわかっているはずだろう?」
「か、和雅……。わ、わかった。二人とも、決して死んではならんぞ。生還に勝る勝利はないのだからな!」
「ぐッ、ぐふッ……その通りだッ! 一煉寺龍太ッ! そこに残る以上、貴様だけのうのうと生き残ることなどワガハイは許さぬぞッ! 必ず全員で帰ってきて見せよッ!」

 エレベーターで脱出の準備に入っている面子の多くは、俺達が居残ることについてはそこまで口出しはしていないようだった。彼らも、政府が四郷を見捨てることになるだろうと踏んでいるらしい。その結末が、着鎧甲冑の矜持に背くことに繋がることも。

 ――にしても、「必要悪」が瀧上さんと戦う理由って、何なんだ……? 伊葉さんは何か知っている風だったが。

「一煉寺君。私の口から偉そうなことは言えたものではないが……鮎子君のこと、よろしく頼む。日本政府も当てに出来ない上に、この場にいる多くの人間にリスクを負わせられない以上、君に頼らざるを得ないのが心苦しいが、な……」
「――なに、ここから急いで脱出しようっていうみんなの方が正しいのは違いないさ。ここに残っ
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