第129話 ドラッヘンファイヤーとして
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れてしまった、彼女は?
あんな状態で助けが来るまで放っておいて、元通りの精神に戻るとは限らない。そもそも、瀧上さんを消したい日本政府が彼女を生かす理由がない。最悪、瀧上さんもろとも殺されかねないのだ。
もし今すぐ彼女を「新人類の巨鎧体」から引っぺがすことが出来れば、少なくともあの苦しみから解放することくらいは可能なはず。人を救う、それが信条の着鎧甲冑を預かっておいて、その可能性を捨てるわけにはいかない。
「……どうしてよ」
「ん?」
「どうしてよッ! どうしてあなたがそこまでするのッ! どうして私を頼ってくれないのよッ!」
だが、救芽井はイマイチ納得が行かないらしい。俺の肩を必死に揺らし、声を荒げて抗議しているその様は、仮面のデザインに反して余裕がまるで感じられない。
彼女としては、周りに何も言わず、勝手に残るつもりでいることが許せないようだが……。
「救芽井、お前言ったよな? 絶対にみんなで生きて帰る、それが『着鎧甲冑』だって。俺もその通りだって思うんだ。だって、その中には四郷だって居るんだろ?」
「……そう、だけど」
「なら、そのために出来ることは全部やらなくちゃいけない。『みんな』で生きて帰るには、お前が甲侍郎さん達と一緒に所長さんや伊葉さん達を連れ出さなきゃならないし、四郷を助けるには俺が残って『新人類の巨鎧体』とやり合わなきゃいけない。アレに勝てる見込みなんてある方がおかしいし、今すぐ四郷を引っぺがせたって彼女が無事な保証もない。それでも、ほんのちょっとでも助けられる見込みがあるなら、俺は『救済の超機龍』としての仕事を全うするべきなんだと思う」
「……ッ!」
長々しい俺の力説に対する、彼女の反論は聞こえて来ない。もっとマシな手段があるなら、彼女の口から今すぐ飛び出てきてもいいはずなのに。
――本音では正しいとわかっていても、認めたくない何かがある。そう、彼女が纏う雰囲気が語っているようだった。
「……あなたの言うことはわかるけどっ、でもっ! ――じゃ、じゃあ、私も残る! 私も一緒に戦う! もう二度と、あなた一人で戦わせたくなんかないッ!」
「大勢の――それも生身の人々をほったらかして、上手く行くかどうかもわからない戦いに首を突っ込むのがお前にとっての『着鎧甲冑』か? こういう博打染みた戦いは俺の方が向いてるし、一応アレについての前情報も持ってる。完全初見のお前よりは上手く立ち回れるつもりだぜ」
「ま、前情報? それってどういう――」
「さぁ、話は終わりだ! みんなのことは経験豊富なお前に任せるぜ。その分、四郷のことは、きっと俺がなんとかしてやるからさ!」
特攻同然の俺の胸中を僅かでも理解してくれるだけでも、十分ありがたい。だけど、彼女を俺の博打に
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