第127話 惨劇の再来
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を捉えた鷹のように、ただ真っ直ぐに見据えている。
あの顔の先……まさかッ!?
「……行くか」
感情のない、淡々とした呟き。
それこそが、攻撃の狼煙。
その事実に気づいたのは、瀧上さんが小さな一言と共に、弾丸の如きスピードでコックピットを飛び出した後だった。
「なにィっ!?」
「速い! 客席に向かう気なのッ!」
「――R型部隊ッ! 奴を止めろォッ!」
完全に虚を突かれたG型の面々や救芽井は、彼に頭上を大きく跳び越される形になっていた。
G型部隊の最後尾に居た甲侍郎は、自分が抜かれたと悟る瞬間、咄嗟にR型全員に指示を出す。
「うッ、うおぉおぉッ! ――ぐはぁっ!?」
「ぎゃああぁッ!?」
雇い主を指令を受け、四人のレスキューヒーローは、客席に向かう鉄人に果敢に飛び掛かる。だが、猛烈な勢いで突っ込んで来る鋼鉄の巨体を阻むには、体重差がありすぎた。
四人同時に敢行されたタックルを軽々しく跳ね退け、瀧上さんはさらに迫る。宙に舞い上げられたR型の一人は、ダメージのあまり着鎧を解除されてしまった。
「凱樹君ッ! もうやめろ、やめるんだッ! これ以上戦っても、何も生まないのだぞッ!」
「凱樹ッ! あなたの戦いはもう、終わってるのよッ! もう、終わりなのッ! だから、もうッ……!」
伊葉さんや所長さんの懸命な呼びかけも、瀧上さんの攻勢を食い止めるには至らない。彼は魔王のような両腕を広げ、客席に降り立とうとしている。
そこまで来たところで、俺はようやく瀧上さんの狙う先に確信が持てた。
彼の狙いは――久水だッ!
「龍太ッ!?」
「――くそッ、行かせるかァッ!」
俺は矢村の制止を振り払い、その場から瀧上さん目掛けて跳び上がる。ほぼ同様のタイミングで、「必要悪」も高電圧ダガーを構えてジャンプしている姿が見えた。
「……ッ!」
当の久水自身は、四郷の近くに自分が居たために、彼女が狙いだと思い込んでいるらしい。両手を広げて四郷を庇うように、毅然とした表情で瀧上さんを睨み上げている。
――違うんだ久水ッ! あの人の狙いはお前――
「……ムゥォアァッ!」
「くあッ!?」
「ムッ!」
――と、俺の注意が削がれていた瞬間を突いてか、あの光る鞭が飛び出してきた!
俺は一瞬遅れそうにはなったが、なんとか鞭の先端を横薙ぎに蹴り、回避に成功。「必要悪」も、難無くダガーで切り抜けていたようだ。
「これで得物は――ぐわッ!?」
「ウッ……!?」
だが、迂闊だった。
光る鞭の奇襲をかわし、あとは瀧上さん自身に攻撃を加えて止めればいい。俺達は、そう思い込んでいた。
しかし、それは彼による策のための布石に過ぎなかったらしい。俺達が瀧
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