第125話 ヤークトパンタン
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…?
「さぁ……来いィイィイッ!」
そんな俺の思考を断ち切らんと、瀧上さんが叫ぶ。
今まで溜め込んでいた感情――怒りや喜びの全てを、一つに圧縮し……解き放つかのように。
これまでにない「狂気」の詰め合わせであるようにも見える、その雄叫びは――彼の背後に聳える、アリーナの外にある巨壁を激しく震わせていく。
「――ッ!?」
その異様な光景は、他の皆が地震に混乱しかけている中で、俺の注目を強く引き付けていた。
何か巨大なものが動き出そうとしているかのような、激しい揺れ。
それは、彼の後ろ――すなわち、このグランドホールから更に奥の、地下室自体を成り立たせている巨壁が、震源地になっているかのようだった。
そう思わされてしまう程、あの場所の揺れは、際立った大きさを見せていたのだ。「手を翳した瞬間」に起きた現象である以上、瀧上さんの思惑と無関係な事態であるとは思えない。
これから確実に、「あそこ」から「何か」が起こる。
そう邪推した時。
俺の予想は、外れていてほしいというほのかな願いをことごとく踏みにじり――的中してしまった。
土砂崩れの如く、崩落していく巨壁。
流れ出る海水。
地下という牢獄に轟く、鉄人の狂喜の叫び。
そして――巨壁に隠されていた空間と共に、閉ざされていた我が身を解放された、赤褐色に彩られし鋼鉄の巨人。
その姿は、十年間の時を経てもなお……大きく姿を変えてはいなかったのだ。「実物」を見たことがなかった俺でさえ、一目でその正体を見抜ける程に。
「あれがッ……『新人類の巨鎧体』……ッ!」
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