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フルメタル・アクションヒーローズ
第125話 ヤークトパンタン
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敬意を表しますわ」
「止めてよ、そんなの……! ボクのことなんていいから、早く逃げてっ! 凱樹さんは、凱樹さんだけはダメなのっ!」
「あなたの気持ちも、彼の強さも、見ていればわかりますわ。普通に張り合える神経や身体の持ち主ではない、ということも。――だけど、このまま彼を野放しにしていれば、必ずあなたが傷ついていくことになるはずざます。親友の矜持として、それだけは許せませんの」

 なんとか久水を止めようと、四郷も必死に裾を引っ張る。だが、彼女に引き下がる気配は微塵も見られず、むしろ危険も省みることなく、そのまま突き進んでしまいそうな様相すら漂わせていた。

 優しく諭すように、四郷に想いの丈を語る彼女の姿を見ていると、数分前まで傍若無人の限りを尽くしていた女帝と同一人物だという事実が受け入れ難くなってしまいそうだ。

「な、なぁ! みんなめっちゃ強かったし、だ、大丈夫、やろ?」
「凱樹……」

 「新人類の将兵」が全滅したことにより、一同の注目は再び瀧上さん一人に集まっていく。
 矢村は引き攣った笑顔で、周りに同意を求める――が、瀧上さんに悲痛な眼差しを送る所長さんを含め、誰も彼女の言葉に反応を示さなかった。

「――君の戦いは、もう終わった! もう、無益に人を傷つける必要などない! 降伏してくれ、凱樹君ッ!」

 一方、伊葉さんは今もなお、必死に説得を試みている。所長さんと同様に、殺されかけていたにも関わらず。
 かつて自分が信じたヒーロー。その虚像は、今となっても彼に深く付き纏っているようだ。「必要悪」は、そんな彼の背中を、何も言わずに静かに見守っている。

「甲侍郎様。手持ちの駒がなくなったとは言え、奴が簡単に降伏勧告に応じるでしょうか?」
「――彼の軍勢と戦えば、肌でわかることだろう。あの男に、『降参』の概念などない。次の一手に対応出来るように、残りの隊員を配置しておくべきだ。G型の生き残りを前面に展開し、R型四名を一般人達の護衛に付けてくれ」
「了解しました。――全部隊、ワガハイの指揮に入れッ!」

 その頃、茂さんは甲侍郎さんとの僅かな密談を終えて、「救済の龍勇者」の面々に指示を送っていた。どうやら、瀧上さんが降参しない前提で、対応していくつもりらしい。
 彼の指令を受けて、散り散りに動き出すG型とR型の姿が、それを証明している。

 ……伊葉さんや所長さんには悪いが、俺もそうした方が得策だと思う。瀧上さん一人でも尋常な強さではないんだ。
 玉砕覚悟だとするなら、向こう側が反撃を仕掛ける余地は十分にあるはず。

「……龍太君。仮にあいつが襲ってきたとしても、もう無茶なんかしないでよね……?」
「わかってる。いざとなったら、お前も逃げられるように準備しとけよ」

 俺の腕をギュッと握る
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