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フルメタル・アクションヒーローズ
第125話 ヤークトパンタン
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ターゲット外だった人間』に切り替わった瞬間を見計らって、『ターゲット外からの攻撃要員』をしきりに入れ替えていた……ってことか?」
「そう。私達は最初、彼女のサインでの指示に従うだけだったけど、二回目の入れ替え移動の時には、みんな『新人類の将兵』の弱点には気づいていたわ。久水さんの狙いにも大体はね」
「――でも、向こうも学習機能を備えた戦闘兵器には違いありませんもの。こんな簡素な戦略など、精々二回程度しか通用しませんわ。だからこそ、救芽井さんにはたっぷりと規格外な行動で、存分に掻き乱して頂いたのです。……まさか、あんなゴリラのような戦い方をされるとは予想外でしたけど? さすが脳筋ざます」
「ちょっ!? ……龍太君の前でなんてこと言うのよッ! わ、私ゴリラなんかじゃないもんッ!」

 結局どういう狙いであの作戦を決行し、こうして勝利に結び付けたのか。そこを気にしていた俺の意を汲んでか、久水と救芽井が解説してくれ――てるんだが、何をケンカしてんだよこの娘らは。

「そ、それで救芽井があんなムチャをしたってことなのか。それで全員の注意を救芽井一人に向けさせて、その隙を突いて着鎧甲冑全員での奇襲。そこへ畳み掛けるように『必要悪』と四郷のダブルパンチ……か。それをあの短時間で考えついただけでもすごいっちゃすごいが、よく実行に移せたもんだ」
「そうよね!? 私頑張ったよね!? だから私、脳筋ゴリラなんかじゃないよねっ!?」
「……」
「……」
「……そだね」
「なんで間が空くのよぉおぉおッ!」

 俺の肩を必死に揺らし、涙声でしきりに「自分はゴリラじゃない」と主張する救芽井。いやまぁ、そんなことはわかってるんだけどさ。的を得ているというかいないというか。

「樋稟ッ! 案ずることはない、君の勇ましく美しい戦い振りは、ゴリラよりも力強く美し――ひぶらはァィッ!」

 そこへ駆け付け、華麗に地雷を踏み抜き散っていく茂さんを見ていると、まるでいつも通りの賑やかな世界に回帰したように錯覚してしまう。仮面越しに冷酷な視線を突き刺しながら、彼の顔面にあのローリングソバットを見舞う彼女を見ていると、そんな気がしてしまうのだ。
 ……まだ、一番肝心な人が残っているというのに。

「――そして龍太様と同じく、ディフェンドゥーズサインを存じない身でありながら、ワタクシに協力してくだった『必要悪』さんと鮎子には、感謝の意を表明しますわ。さて、いよいよ残る悪魔は一人だけ……となりましたわね」

 一転して、指揮官としての厳かな眼差しを見せた久水は、壁に手を突いたまま俯く「新人類の身体」――瀧上さんを見遣り、四郷を庇うように仁王立ちになる。

「梢っ……!」
「……よくやりましたわ、鮎子。よく、頑張ってくれました。あなたの勇敢な働きに、親友として
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