第123話 ヒーローを統べる女帝
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しよ、どないしよ! どうしたらええのっ!?」
客席にいる救芽井達も、この事態には焦燥を隠せないようだ。四郷も久水の服を掴んで不安げな視線を浮かべており、矢村に至っては半ばパニック状態に陥っている。
――マズい……! この「新人類の将兵」とやらが「解放の先導者」と同質の造りだとすれば、俺の拳法が通じる見込みなんてない。かといって、戦闘行為が専門じゃないはずのR型を置いて、さっさと逃げるわけにもいかん。
司令塔の瀧上さんを叩けばいいのかも知れないが、俺の力でなんとかできるとも限らないし、唯一出来そうな「必要悪」は、客席側に迫る「新人類の将兵」達にしか意識が向いてなさそう。
客席側なら茂さんや「必要悪」だっているから何とかなりそうなものだが、甲侍郎さん達や俺がいるあたりなんかは、かなり辛い状況と言っていい。救芽井や四郷を戦わせるのは、出来れば避けたいし……。
何か、何かないのか……!? 何か、打つ手は……!
「――なるほど。ワタクシ達を狙う左側分隊、甲侍郎さん達を狙う中央分隊。そして龍太様とR型の者達がいる所を狙う右側分隊……計三小隊に分かれて襲撃するつもりですのね。各小隊につき六体から八体程度、というところかしら」
「久水さん、こんな時になにブツブツ言ってるのよッ!」
「静かにおしッ! ……単一の命令系統から複数の操作対象に同時に命令を発しているから、各個体の自律行動が大味過ぎる『命令』という外部からの干渉を受けて、活動内容が『ターゲットを三分割する』という形で、より単純化されているようざます……それならば!」
その時、客席で何か揉めているような声が聞こえたかと思えば――
「龍太様を除く全ての着鎧甲冑所有者に告ぐッ! 直ちにこのワタクシ、久水梢の指揮下に入るざますッ!」
――突拍子もなく、久水がそのようなことを叫び出していた。
客席の手すりから身を乗り出し、手を翳すその様は、さながら臣民を統べる女王のようだ。自信に満ちたその凛々しい表情や、絶対に大丈夫だと俺達に訴えかけるかのような強い眼差しは、この状況に対する術を見つけられずにいた俺達に、えもいわれぬ説得力を与えている。
「ひ、久水財閥のご令嬢……! ここは危険です、一刻も早くお逃げ下さ――」
「――わかった。君に任せよう」
「……!? どういうおつもりです社長! 彼女に我々の指揮を托すとおっしゃるのですかッ!?」
「彼女は私が直に教えたディフェンドゥーズサインを、全て体得している。賭けてみる価値はあると私は見るがね」
あくまで久水を戦力外の一般人と見做し、逃がそうとするG型の一人を制したのは、甲侍郎さんだった。彼は部下の助けを借りてようやく立ち上がると、客席に凛々しく立つ彼女をゆっくりと見上げる。
「……あなた様に納
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