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フルメタル・アクションヒーローズ
第121話 鉄の咎人
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「また痛い目に遭いたいようだなッ!」
「ぐおゥアッ!」

 ……だが、それを口にするよりも早く、茂さんも他のG型と同様に鞭で弾き飛ばされてしまった。
 しかし鞭で薙ぎ払われる瞬間、電磁警棒で咄嗟にガードしたおかげで、着鎧を解除させられる程のダメージは免れたらしい。ふらついてはいるが、着鎧したまま無事に着地している。

「ぐッ……く、くそォォッ……!」

 手痛い迎撃を喰らい、悔しげに歯ぎしりする茂さん。瀧上さんは、そんな彼を嘲笑うように鼻を鳴らすと、今度はこちらに向けて手招きをして見せた。

 ――挑発している。まだ挑む勇気があるなら、今すぐ掛かって来い、と。

「くッ……!」

 正直、勝てる見込みはあるとは言い難い。単なる格闘戦ならまだしも、あのレーザーウィップとかいう光の鞭を持ち出されちゃあ、こっちの間合いは初っ端から殺されたも同然だ。

「い、いけません龍太様ッ! お下がりくださいッ!」
「……ご忠告ありがたいけどね、ここは行かせてもらうよ。御指名されちゃあ、ヒーローの端くれとして逃げるわけにもいかんしな」

 ――かと言って、彼との対決を避ける道理にはならない。ここまで好きにされて、大人しく引き下がれるほど……俺は優しくはなれない。
 あの自信満々な鼻っ柱をへし折らないうちは、俺は帰る気はないぜ。四郷を泣かせたツケも、払って貰わなくちゃならんしな……!

 俺は瀧上さんの力に動揺しているR型の人達を押しのけ、彼に向かって少林寺拳法の型を構える。
 そして、それを見た向こうが第二ラウンド開始と言わんばかりに、鞭を振り上げた瞬間――

「あっ――アレッ! アレ、何やッ!?」
「えっ!? あ、あの人は……!」

 矢村の声が、アリーナ全体に轟く。次いで、救芽井が驚いたように叫んだ。
 それと共に全員の視線が、彼女達の指差した方向に移り――時間の流れが停止した。

 いや、正確には、時間が止まったかのように、全員が動きを止めたのだ。

 破壊された審判席の上に立つ「彼」の存在は、それほどまでに大きな衝撃を、俺達に与えている。
 ――だが、甲侍郎さんや彼が率いる精鋭部隊には、そこまでのショックは見られない。どうやら、「彼」が来るのはある程度想定されていたことだったようだ。

 だが、少なくとも俺からすれば、「彼」の登場はいささかサプライズ過ぎた。

 「救済の龍勇者」とはまた違う、輝かしい白銀のボディの持ち主である「彼」は、両腕にぐったりしている伊葉さんと所長さんを抱え、悠然とこちらを見下ろしている。

 機動隊のプロテクターのような鎧と、純白のマント。そして、白く輝く西洋騎士を思わせる鋼鉄の兜。得体の知れないその格好は、初めて会った時から何も変わってはいなかった。

 
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