第120話 歪んだ正義と狂気の幕開け
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
君とどういう関係なのかは後でじっくり伺うとして――私は私の責任を果たさねばなるまい。これだけの騒ぎを起こした以上、必ず我々の手で決着を付けなければならん」
感情を剥き出しにしていた茂さんとは対照的に、久水の声は恐ろしい程に落ち着いている。燃えるような怒りを通り越した、吹雪のような冷酷さを孕む、静かな声。
そんな威圧に晒されてなお、甲侍郎さんに怯む気配はなかった。むしろ、会話内容からして俺が一番ヤバい気がする……?
「――さて、待たせたな。貴様の十年間に渡るヒーローごっこは、もう終わりだ。貴様と同じ歪んだ正義の前に、屈するがいい」
そして、話すべきことを話し終えた甲侍郎さんは、遂に瀧上さんとの対決に向かおうとしていた。六人のG型精鋭部隊が電磁警棒を一様に構え、灰色の鉄人にジリジリと迫る。
歪んだ正義――その言葉を聞き、俺は改めて彼が自分の行為を嘲っていることを知る。自身の判断や計画がすべて正しいと信じて疑わないのなら、あんな言葉は出ないはずだ。
……「歪んだ正義」、か。「どんな奴でも助けたい」って願おうとした俺も、例外じゃないのかもな。
「……ダメ……! お願い、やめて……! もう、やめて、よぉ……!」
だが、次の瞬間。
四郷の哀願するような、啜り泣く声が聞こえた時。
「『怪人』……? このオレが? 『怪人』だと……!?」
燻っていた全ての憎悪が破裂するかのように――瀧上さんの狂気が、唸りを上げて解き放たれた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ