第120話 歪んだ正義と狂気の幕開け
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んな見込みがあるような逸材など、どこを探しても居るはずがなかった。――救芽井エレクトロニクスを創設する以前から、我々が知っているただ一人の少年を除いては、な」
……ッ! なるほど、そういうことか……。
「まさかッ……! じゃあ、『救済の超機龍』を造ったのもッ……!?」
「その通りだ。救芽井エレクトロニクスの未来とお前のためとは言え、国一つ滅ぼすような相手に挑もうという義息子に、安物を宛がうほど薄情になったつもりはないからな。着鎧甲冑の理念を守りつつ戦わねばならん以上、相応のポテンシャルは必要になるだろう」
「酷いっ……あんまりよお父様ッ! 人を救うのが私達の仕事なんでしょッ!? なのに、こんなの……こんなのってッ……!」
「着鎧甲冑でやることじゃない、龍太君に押し付けるようなことじゃない、と言いたいのだろう。――言われずとも、本来の道から大きく外れているということは、私も十分に理解しているつもりだ。しかし、この者を避けて救芽井エレクトロニクスを繁栄させられるなどと、甘いことを考えるつもりもない」
「でもっ……!」
「……心配するな、ここから先は我々大人達の仕事だ。もう、龍太君やお前に負担を掛けることもない。だから、下がっていなさい」
泣き崩れる救芽井に、甲侍郎さんは優しく慰めるような物腰で諭している。父親として、娘を泣かせてしまったことに負い目を感じているのだろう。
救芽井は顔を伏せたまま「ごめんなさい龍太君、ごめんなさい」という言葉を、ひたすらテープレコーダーのように繰り返していた。彼女の肩を抱く矢村がいなければ、飛び下り自殺でもやりかねない程の追い込まれようだ。人命救助をポリシーとする家柄である分、責任感もより重く感じられてしまうんだな……。
「救芽井甲侍郎様ッ……! ワガハイもあなたに資格者としての栄誉を与えられた身である以上、あなたの判断を尊重したい……。しかし、御息女の涙を見せられては、男としてあなたの行いを肯定するわけには行きませぬッ……!」
「久水家の現当主か。ひたすら樋稟に纏わり付く君に資格を与えてしまうのは些かどうかと思っていたが……娘のためにそこまで怒れる君を見る限り、私の判断は正しかったようだな」
席から立ち上がり、怒りを押し殺すように唸る茂さんに対しても、甲侍郎さんは涼しげな姿勢を崩さない。瀧上さんと向き合っている以上、相手をしていられる余裕がない、というところもあるかも知れないが。
「――救芽井甲侍郎。あなたは大事な一人娘を自分の都合で泣かせた挙げ句、ワタクシの龍太様をいたく傷付けたざます。それだけのことをした以上、きっちり責任を取って頂かなくては……スポンサーとして協力する件について、考え直さなくてはならなくってよ」
「わかっている。君が龍太
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