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フルメタル・アクションヒーローズ
第119話 招かれざる客
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んだ……? まさか、試合前の警報と何か関係が――

「ムゥオォアァアアァッ!」

 ――!? マズいッ!

 所長さんの異変に目を奪われていた、その一瞬を突いて瀧上さんが迫る。くそっ、一発当てられたからって気が緩んじまったのか!?
 あっという間に視界を覆い尽くす、ひび割れた赤い世界。そこから抜け出さんと、俺は床を全力で蹴る。

「ハァッ!」

 彼の頭上より高く跳び上がった俺は、再び狙いを後頭部に定める。……相手の弱点(ウィークポイント)を攻めるのは、格闘の定石だ。それを抜きにして勝てるほど、この人は甘くない……ッ!

 空間を掻き切るように薙ぎ払われた鉄腕をかわし、宙を弧を描くように舞う。そして……後頭部にまわり込む!

「ヌゥンッ!」
「ぐぅはァアッ……!?」

 ……だけど、同じ手を使わせてくれる程度の甘さすらなかったらしい。後頭部に回った瞬間、「唖門」にもう一度振蹴を浴びせようと、身体を捻った俺の脇腹に、後頭部からのヘッドバットが突き刺さる。
 急所に攻撃が通用するとは言え、そこに当たりさえしなければ、高い硬度を持っている事実は揺るがない。完全に裏をかかれた俺の腹には、弱点であるはずの彼の頭が、スーツごと肉をえぐるように減り込んでいた。

 体重も乗っていない、ただ後ろに頭を振るだけの簡単なお仕事。それでも、彼が放ったその一発は、今の俺を過剰に痛め付けるには余りにも十分過ぎる……!

「あぐッ……!」
「同じ手を何度も喰らうような奴では、ヒーローなど務まらん。……クク、君は一から、その道を学び直さねばなるまい。もっとも、オレに負けた瞬間、その機会は永遠に来なくなるのだがな」

 再び俺は彼の後方に吹っ飛ばされ、床の上を転げ回る。そんな俺を嘲笑う彼の口調に反応するように、バイザーが映す光景に変化が現れた。

「――!」

 この視界全体を覆う赤い点滅は……危険信号!?
 余りにもダメージを喰らいすぎたせいで、「救済の超機龍」のシステムが装着者の俺に警告を発しているんだ。このまま手痛い攻撃を喰らい続けていれば……やがて着鎧が解除され、試合に負ける。
 そうなったら、救芽井エレクトロニクスは……救芽井は……四郷は……俺は……!

「う、ぐおぁあッ……!」

 この勝負に負けられないという意志。こんなところで死にたくないという恐怖。どちらとも言い切れない、様々な感情が渦巻いた時。
 俺は俯せの姿勢から、拳を床に当て、地面を押し込むようにして立ち上がろうとしていた。
 ――ただ恐いのか、皆のために勝ちたいのか、もうよくわからない。ただ間違いないのは……こんなところで寝てる場合じゃない、それだけだ!

「大人しく倒れていれば、これ以上は傷付かずに済んだはずだというのに……君の神経
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