第118話 鉄兜の盲点
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ほどのやられっぷりに、女性陣からさらに悲痛な叫び声が上がる。
――あの勢いで振り下ろした拳を瞬時に引き抜いて、その後ろに避けた野郎に肘打ちかよ……! どんだけバケモ――いや、バカげたパワーとスピードなんだッ!
……つか、危ない危ない。心の中だけとは言え、危うくバケモン呼ばわりするところだったわ。いや、確かにバケモンには違いないかも知れないが……あんまり言い過ぎると、同じ技術で身体を造られてる四郷とかどうなるんだよ。
「――しかし、参ったなこりゃ……ハハ……。向こうよりもっと速く動いて対応しなきゃ、なんないってのに……まるで身体、動かねぇんだわ……」
身体を俯せに倒し、両手足の筋力を駆使して立ち上がる。「救済の超機龍」の運動性に頼ってなお、立ち上がるのがこんなにしんどくなるとはな……笑える弱さだよ、俺は。
『さすがにダメージが強いようね。どうする? 降りる?』
「……いや。せっかくだから、続けるよ。救芽井にも、申し訳が立たなくなるしな」
だとしても、ここで所長さんの有り難いお情けを頂戴するわけにも行かない。……さっき言っちゃったばっかりだからな。一矢も報いないままじゃ、くたばれないって。
「何が君をそこまで『悪の道』へと駆り立てているのかは知らないが――コレも正義を為すため。……悪く思うなッ!」
だが、現実ってのは呆れるほど容赦がない。前屈みでフラフラのまま立ち上がる俺は、正面に顔を上げる前に、再び彼に背後から捕まってしまった。
しかし、今度は掌で顔面を掴まれているわけではない。頭の周りを巨大な何かで圧迫されている、この感覚は――ヘッドロック!?
「う、ぐ、あッ……!」
「君は小悪党にしてはよく頑張った方だな。しかし、正義のヒーローたるオレに刃向かう自分の行為に疑いを持たない以上、この結末から逃れることはできんのだ。君を信じた少女達も、悪に騙されてしまって可哀相に」
いつにも増して高尚なヒーロー講座を垂れる瀧上さん。そのあんまりな言い草には、さすがに俺もプチンとイキたくなってくる――かな。
悪に騙される? 可哀相? あの娘達がか?
……ふざけんなよ。笑えないギャグとか、寒いだけなんだよ。
何が悪だとか。何がどう可哀相だとか。そんなの――
「――あんたの決めることじゃないだろッ!」
……おや、つい口に出てしまったな。まぁ、だからといって撤回するつもりなんてさらさらないけど。
救芽井も、矢村も、久水も四郷もついでに茂さんも。
みんな、俺を信じてこの場に送り出してくれた。それは哀れなんかじゃない。俺も……騙してなんか、いない。
だって――勝つって、決めたんだから!
「ん、ぐ……おおおォッ!」
「負け惜しみを抜かし出したかと思えば……今
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