第117話 瀧上凱樹の猛威
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が耐えられるとは、限らないのだ。
力同士でぶつかる勝負は無理。カウンター戦法に徹しようにも、待ってばかりじゃいずれバッテリーが尽きる。――ならば、向こうの「反撃」を誘うような軽い「先制攻撃」を敢えて行い、その「反撃」を「想定」した更なるカウンターで迎撃する。それが、俺が彼に勝てる可能性であり、希望だ。
「一応の敬意として、一通り君の技を受けてやろうと思っていたが――こんな下らない蹴りばかりしか仕掛けて来ないようなら、品切れと解釈しても良さそうだな?」
「だったらさっさと終わらせてみな。口先だけじゃあ、俺は殺せないぜッ!」
「……そうか。なら、君の望むままに――終わりにしてやろうッ!」
そして――ついに、瀧上さんが動き出す。腕組みを外し……その瞬間に伸びて来る、巨大な掌。その迫力は、「ヒーロー」というよりは「大魔王」の方が遥かに相応しい。
血と闇が滲んでいるかのような、赤黒く禍々しい右腕。全てを飲み込まんとするかのように迫るその鋼鉄の手に捕まれば、間違いなくただでは済まない。茂さんに仕掛けた時はお遊び程度でしかなかったのかも知れないが、本来の姿となっている今では、それくらい感覚でも十分に脅威だ。
ましてや、これは俺達だけの間で取り決められたデスマッチ。捕まったが最後、仮面ごと頭を握り潰されて一瞬でおだぶつ、となる。
だが――ピンチはチャンスとも言う。「軽い先制攻撃」に触発されて出てきた「反撃」。これこそ、俺が狙い目にしていた好機なのだ。
「――ハッ!」
迫る巨大な掌が、俺の頭蓋骨を砕こうと、視界全体に覆いかぶさる直前。俺は体重を思い切り後ろに乗せ、後退の姿勢に入る。
そこから更に、身体の軸をずらして掌が直進する方向から逃れ――その巨大な手首を両腕で掴む!
「一本背投……ッ!?」
そして、背負い投げの要領で懐に入るべく、その鋼鉄の腕を手首から捩り上げ――ようとした。
――だが、現実は違った。
手首を捩ろうと力を入れる瞬間。こちらの勢いを受け流されたかのような感覚に襲われ、気づいた頃には弾かれていたのだ。
デカい相手をブン投げる、そのことを意識し過ぎていたせいか必要以上に力が入ってしまっていたらしく、肩透かしを食らって生じたふらつきも大きいものだった。
「……なっ……!?」
「ふむ。なかなかの踏み込みだな。少しは腕に覚えがあるらしい」
倒れる程ではないにしろ、隙だらけになっていたのは確かだ。もし瀧上さんがこの瞬間に踏み込んで来ていたなら、恐らく避けることは出来なかっただろう。
……いつでも殺せる、ってことかよ、畜生……!
だけど、向こうは一体どうやって俺の技を外したんだ……? 力任せに弾かれるような感覚はしなかったはずな
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