第116話 願いの叶え人
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君も、自分が誰を相手に偉そうな説教を垂れていたのか、試合の後もしっかりと記憶に刻んでおくことだ。同じ轍を踏んで恥をかかないように、な」
……言ってくれるじゃないか。こりゃあ、個人的にもギャフンと言わせないことには、腹の虫が収まりそうにない。もちろん、最終的に四郷を助けることが大前提だけどな。
「――そうだ。ただ戦うだけでは、試験の意味を成すまい。命懸けで、人々の命を救いに向かうヒーローを輩出するというのなら、それに応じた状況を作らなくてはな」
「……なに?」
すると、瀧上さんは何かを思い付いたかのように、不穏な空気を口先から漂わせてきた。それに応じた状況……? 何を言い出すつもりだ……?
「行動不能に追いやるか、ギブアップするか。そんな甘いルールで認められたヒーローが、人々を守ることなど断じて不可能だ。やるからには、『文字通り』命を懸けなくてはな」
「――まさか!?」
「そう。生きるか死ぬか。実にシンプルで、リアリティのあるルールだとは思わないか? この生命のやり取りを勝ち抜けられる『強さ』あってこその、『正義のヒーロー』というものだろう」
俺達だけにしか聞こえない程度の声量で、瀧上さんは本日最大の無茶ブリをかましてきなすった。生きるか死ぬかがルール。つまり――問答無用のデスマッチをしよう、ということか……!
……わかってるつもりだったが、やっぱりこの人はいろいろとヤバすぎる! 人命救助システムのためのコンペティションで「殺し合い」をやろうなんて「本末転倒」にも程があるってことくらい、ガキでも少し考えたらわかる話だってのにッ!
それをこうも当然のようにブッ放せる瀧上さんを見てしまえば、所長さんの話を疑う余地は完全になくなってしまう。あの話には、映像には、脚色なんてない。
この人は、身も心も本物の怪物になってしまっているのだ。四郷があれほど怯えていたのもわかる。
――だが。
「いいね、それ。スリリングな賭け事ってのは、嫌いじゃないぜ」
俺は、敢えてその提案を呑む。心にもない言葉を、並べながら。
「ほう。ただの身の程知らずかと思えば、存外にいい度胸ではないか。泣いて逃げ出すものかとばかり思っていたよ」
「生憎だが、『大したことなさそうな奴には』強気になりたがるタチなんでね。――ただ、一つだけ条件がある」
俺は瀧上さんの誘いに乗る一方で、一つの条件を提示する。これを宣言したいがために、本末転倒な彼のローカルルールに応じたようなものだ。
「条件? ……まぁいい。言ってみろ」
「あんたは俺を本気で殺しに掛かるつもりなんだろう。それは別に構わないが……俺の方は、嫌でもあんたを殺すわけにはいかないんだ。『人を活かす』、それが俺の拳法と『救済の超機龍』、ひいては着
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