第116話 願いの叶え人
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て思い知らされてしまう。
腕の太さや足の太さは、俺の倍以上。もしかしたら、三倍に届くかも知れないレベルだ。身長も二メートルを軽く越しているだけあって、俺の目線なんて彼の腹筋程度の高さしかない。
――それにしても、彼の赤黒く塗られたボディのあちこちにある、小さな亀裂は何なのだろう。元々参加するつもりはなかったから、メンテを怠っていた……としても、さすがにボロボロ過ぎる。
……まるで、この身体そのものが、孵化する寸前の卵であるかのようだ。
しかも、近くに立ってみて初めて気づいたのだが――ものすごく臭う。なんだコレ……鉄の臭い、なのか……?
鉄板を触った手によく付いているような、あの臭い。それが何十倍にも増幅されたかのような異臭が、彼の全身から放たれている。もしかしたら、かなり錆びている部分もあるのかも知れない。
「すまんな。この『勲章』は臭うだろうが、我慢してくれ」
「『勲章』……?」
口先で謝っているような言葉を並べてはいるが、その憮然とした態度からは反省しているような印象は微塵も感じられない。圧倒的な体格差もあって、むしろ俺が窘められているかのような絵面になってしまっている。
――何の勲章なんだよ。「自分が決めた」悪を殺してきた時に付いた傷だったりすんのか? 清々しい程に自分のしてきたことに後ろめたさを見せないことも大概だが、自分の勝ちが解りきってる、みたいな面してるのが、輪を掛けて腹立たしい。
俺は別に、この人と付き合いが長いわけじゃない。それどころか、ちゃんと向き合って話すのも今回が初めてだ。
本当なら、人から話を聞くだけじゃなく、自分の目で彼の人物像を見極めるべきだったのかも知れない。噂に尾鰭が付く、なんて話はザラにあるんだし。
だが――もし何も知らないまま、この人とこうして向き合っていたとしても、すぐに仲良くなれたとは思えない。なぜなら、直に相対しているだけでも解るのだから。
……この瀧上凱樹という人物から放たれている、触れる者全てに襲い掛からんとする殺気と、自分以外の全てを見下す、冷酷な視線が。
「にしても、やたらひび割れだからけの身体だな。そんなボロボロでも、俺をひねるくらい楽勝だってのか?」
「他に理由があると思うか」
ようやく尻の痛みが引き、元通りの姿勢に戻ってきたところで、俺はムスッとした表情で瀧上さんに食ってかかる――のだが、向こうはさらにこちらの怒気を煽るかのような言葉を返して来る。
「この『勲章』をぶら下げながら戦うのは、正直難しいのだがな。君を相手にするなら、このくらいが丁度いいと判断したまでのことだ」
「――傷が『勲章』、ねぇ。何を誇りにしようがあんたの勝手だけど、舐めプが原因で足元掬われたら恥ずかしいってことは覚えといた方がいいぜ」
「
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