第115話 涙を流せる身体なら
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に道はないのだから、しょうがないじゃないか。人命救助が仕事の着鎧甲冑の名代が、災害怖いんで帰りますね、とは言うに言えないだろう。
そういう、着鎧甲冑としての矜持を保つためにも、という意味で「救芽井にいいカッコしたい」と言ったんだが――当の救芽井の様子がなんかおかしいな。顔を赤らめてめっちゃ身もだえしてるんだけど。あれ? おかしいぞ? なんで矢村に睨まれる状況になってんの?
「――鮎子」
「こ、梢……」
一方、俺が様子の変わった救芽井達に目を奪われている間に、久水が四郷に接近してきていた。小さな肩に両手を乗せ、優しげな表情を覗かせているその様は、あるべき姉妹の姿を見ているようだった。
「龍太様が何をおっしゃったのかは存じませんが……あなたを想っての言葉であることだけは、わかりましたわ。だって、龍太様あってこその、あなたが信じてくれたワタクシですもの」
「……うん……。それは、わかるよ……でも、ダメなの……! そんな人だからこそ、ボクはっ……!」
むせび泣くような声色で、四郷は久水の豊満な胸に顔を埋める。まるで、母に甘える娘のように。そんな彼女の姿に、救芽井と矢村も顔を見合わせて、様子を見守っている。
「……ぐすっ……うぇっ……ねぇ、ねぇっ。どうすれば、一煉寺さん、止まるかな? ……ボクが涙を流せる身体だったらっ……止まって、くれたのかなっ……!?」
「――その時は、龍太様はその涙を拭うために戦われますわ。そして、流せない今は――先程おっしゃっていた通り、着鎧甲冑の矜持を守るために戦われることでしょう。同じことざます」
「……そんなっ……!」
「そして、結果も同じ。龍太様は必ず勝ち、何らかの形であなたを救って下さいますわ。ワタクシは、そう信じると決めました。あなたも救われたいと願う気持ちがあるなら――静かに信じ、待つことざます。それがよき妻としての在りようでしてよ」
「――えっ!?」
「……ふふ、ワタクシが気付かないとでもお思いでして? 殿方を譲る気はありませんし――好敵手があなたとなれば、俄然燃えてしまいますわね」
お互い小声気味なせいか、上手くやり取りは聞き取れないのだが……どうやら、上手く説得してくれているようだ。詳しい事情は知らないまでも、何となく状況を察しているのだろう。さすが、親友だな。
ただ一つ、気になるところがあるとすれば――途中から急に四郷が顔を真っ赤にして、慌て始めたことだが。なんか救芽井と矢村も、それを見て何かに気づいたような顔してたし――気づいてないのは俺だけなのか?
「一煉寺龍太。……いつか貴様、身を滅ぼすぞ」
今まで静観を決め込んでいた茂さんも、何か悟ったような表情で物騒なことを言い始める。え、何? 何なの? 俺だけ仲間外れ!?
「素直に自分の気持ちを
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