5. 髪、切ってよ
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鷹を優しいまなざしで見つめながら、キレイな髪を撫でていた。
「私の事、隼鷹から聞いた?」
「いや何も。ただ、“川内と一緒に、式を途中で抜けるかもしれない”とは言われてたな」
そっか。隼鷹は、他のみんなには黙っていてくれていたのか。提督の隣で気持ちよさそうに眠る隼鷹には、どれだけ感謝してもし足りない。
「この量の酒も、“準備だけはしとく”って、一昨日ぐらいに隼鷹が準備してたやつだ。だいぶ減るだろうとは思ったけど、まさか全部飲むとは……」
そう言って、提督は苦笑いを浮かべる。黙っていただけじゃなく、振られた私にとことん付き合う準備までしていてくれたのか……さすが、みんなの長で、鎮守府のオカンだった提督の淑女だ。私達のこと、よく見てる……。
「昨日の私たち、どうだった?」
恥ずかしい話だが、昨日の隼鷹との飲みの記憶は、私にはない。覚えてないなら覚えてないで隼鷹自身は笑ってくれるだろうけど、私は、自分がどんな風に酔っていたのか、知る必要がある。
「お前がか?」
「うん」
「えっとな……」
途端に頭をボリボリとかいて満面の苦笑いを浮かべる提督を見て、昨日の私はかなりの醜態をさらしていたのだと思い知った。
「先に言っとくが、俺は同席しなかった」
「うん」
「んで、俺はずっと自分の部屋にいたんだが、時々ここから川内と隼鷹の叫びが聞こえてきてな」
「どんな叫び?」
ここで提督は、迷うように口をもごもごと動かし、プッと吹き出した。私から目を背けて笑う提督は、どうやら私に本当のことを言うか言うまいか、迷っているようだ。
やがて観念したのか、提督は、昨晩聞こえた、私と隼鷹の叫びを教えてくれた。
……
…………
………………
『ハルのアホぉおおおおお!! もう頼まれても夜戦に付き合ってやんないからぁあああ』
『そうだー! あんなやつ、こっちからお断りだぁああああ』
『夜10時になっても、もうハルの店に殴り込みになんか行ってやんないからぁぁあああ』
『寂しくて泣いても、もう手遅れだからなハルぅうううう』
『ちょぉおっと膝枕で耳掃除が上手だからって、私をたぶらかしやがってぇえええ』
『あたしのかわいい川内を振ったハルは、おおバカヤローだぁぁあああ』
『今度会う時は、探照灯で瞳孔ぶち抜いてやるからぁぁああ!! 照明弾でガンガンに照らした後で、魚雷カットインでボッコボコにしてやるからなハルぅううう!!』
『いえーい! やっちまえぇぇえええ!! ぶちかませぇぇええ! ものどもかかれぇええ!!』
………………
…………
……
「……そんな叫びが、何度か聞こえてきた」
……聞かなければよかった……恥ずかしい……せっかく隼鷹が黙っていてくれたのに、これじゃ
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