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フルメタル・アクションヒーローズ
第112話 十年間の闇
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識だったのに?
 教えてくれなかった救芽井も救芽井だが……「対テロ」だなんて、そんな物騒なシステムまで作っちゃってよかったんすか、甲侍郎さん。

 その救芽井は少し離れた席で、カロリーメイト(チーズ味)をくわえながら、「救済の超機龍」の最終調整をノートパソコンで進めている。人工筋肉の動作シミュレートやら、バッテリー確認やら、いろいろお忙しい状況らしい。
 その隣で、救芽井の指示に応じて「腕輪型着鎧装置」に取り付けられている、いろんなコードの付け外しを行ったり、腕輪の部品を磨いたりしている矢村が言うには、「ちょっとはしたないけど、龍太君のためだから仕方ない」、ということなんだとか。別に俺の視線なんてそこまで意識するこたぁないのに。――まぁ、あんまり無頓着だとそれはそれで傷付くけど。

 できれば、俺が予想しうる「最悪の事態」に対処できるようになるためにも、ディフェンドゥーズサインとやらについては聞いておきたかったところなんだが――まぁ、あんな多忙な姿を見せられちゃあ仕方ない。
 おとなしく、彼女の仕事の終わりを待つことにする……。

 そして、第三課目開始の三十分前というところまできて、ようやく最終調整が終わったようなのだが。

「なんですって!? 久水さんがっ!?」

 ――例のサインについて話した途端、救芽井の様子が急変し、サドンデスに向けての激励を受けられる空気ではなくなっていたのだ。
 ありのままに事情を話したはずなのだが、何がそんなに意外だったのだろう。てっきり、軽く答えてくれる程度かと思っていたのに。
 ――そんなに驚くほど、俺にサインの存在を知られるのがマズかったのか?

 ……だが、彼女が顔色を変えたのは俺が原因ではなかったらしい。救芽井は信じがたいという表情で久水を一瞥すると、ツカツカとその隣の茂さんに歩み寄り――

「資格者によるディフェンドゥーズサインの他者への伝授は、原則として禁止されているはずよ! 対テロ用システムとして作られたこのサインの情報が漏洩して、テロリストに内容を把握されるような事態を避けるためにっ! あなたも資格者なら知っているはずでしょうっ!?」

 ――いつになく険しい表情で睨み上げ、彼に詰め寄っていた。
 詳しいことはよくわからないが、どうやらディフェンドゥーズサインってのは、G型資格者が持つローカルルールみたいなものらしい。確かにそれが周りにバレたりして、もし裏をかかれたりなんかしたら、戦術としては使い物にならなくなるだろうなぁ。

「いや、梢にサインを教えたのはワガハイではない」
「なんですって!?」

 資格者の親類ではあるけど、立場上は部外者でしかない久水が、ディフェンドゥーズサインのことを詳しいところまで知っている。となれば、茂さんが疑われるのはある種当
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