第109話 試験と人形と揺れる胸
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結論は……ただひとつ。
「おい、頼むから客席に帰ってくれ。試験が始められないだろ」
俺は両方の肩を揺らしながら、二体同時に説得を試みる。内一人がただの人形なのかと思うと、ちょっと恥ずかしい……。
ここまで精巧に造られた人形ともなると、一目にはなかなかわからない。生体反応システムを使えば一発なのだが、アレは救芽井がパソコンでやっていたように、外側からのアシストありきの代物だ。
そうでなくとも実際に触れつづけていれば、質感でわかりそうなものなのだが――なんだかな、あんまりベタベタ触ってると四郷さんの視線が痛いし……。もういっそ、両方のおっぱい揉んだらわかるんじゃ――ちょ、心の中の冗談だよ四郷さん、そんな怖い顔しないでっ!
「……梢、あんまりおいたしてちゃダメ……」
案の定、四郷も久水に注意を促すようになっていた。……両方に。
「そっちに生体センサーはないのか?」
「……マニピュレーターで大部分の容量を取ってるから、生体感知システムは外付け。今は試験の目的に合わせて外してある……」
「あれま、そちらもですかい」
どうやら、四郷側も手を拱いているらしい。かといって、この娘のどちらかを選んでそのまま試験を始めたとして、さっきのような万一の事態にでもなったりしたら茂さんに申し訳が立たない。
イケない方向に快楽を見出だしている彼女のことだから、もしかしなくてもそれを承知の上でのことなんだろうが、こっちの心境という都合もある。
――仕方ない、こうなれば……!
「……起きろよ、『こずちゃん』」
「はうぅんッ!?」
ハハハーッ! 引っ掛かったなこやつめッ!
――いや、まさか本当にコレが通じるとは思わなかったけどよ。駄目元でやってみた結果がコレだよ。
自分の声帯で成しうるだけの甘ったるい声色。その一撃でかつての呼び名を口にした瞬間、雷にでも打たれたかのように、あのなまめかしい肢体が激しく痙攣し、くの字にのけ反ったのだ。
そして、その劇的な反応を示したのは二体の内の一体……いや、「一人」のみ。
白旗を振るように波打つ巨峰を存分に眺め、俺は犯人を追い詰めた刑事の心境を湛えた眼差しを「彼女だけ」に向ける。
「全く。人がせっかくシリアスに試験に臨もうってところに、どうしてそう水を差しに来ますかねぇ! 俺をやたらと鼓舞しといて、それはないんでないの!」
「そんなご無体な……。ワタクシはただ、龍太様との熱い口づけを皆様にとくと! 見せ付けたかっただけでしてよ……」
「……せっかくの試験を掻き乱しちゃダメ。あと、一煉寺さんにベタベタ触るのも禁止。――こ、この人がえっちなこと考えさせられたせいで負けた、なんて言い訳はされたくない……」
あからさまな嘘泣きと併せて、しれっと相
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