第108話 第二科目の序曲
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の場から強引に跳び出している。四郷の救出劇を見た後にこれを見せられてしまうと、焦燥感モロ出しの動きに頭を抱えたくなる。自分のことなのに。
しかも、片手を引いたまま「救済の超機龍」の力をフルに使って跳び上がったせいで、オッサンの首が反動でガクン、と下に向いてしまっている。行き先のビルの屋上しか見ていなかったせいで、オッサンへの配慮が致命的に足りていなかったのだ。
『――これを見たら、もう説明するまでもないわよね。救助対象者の肉体的耐久度は、成人男性の平均値を基準に設定されてるわ。健常者なら、あの勢いで首が下に向いても別に命には関わらないかも知れない。けど、耐久度の落ちた老人や幼い子供が救助対象者だったら……わかるわね?』
……ああ、わかるさ。わからないもんか。
諭すような口調の所長さんの言葉に、俺は無言のまま俯くしかなかった。言い訳など、しようもない。こうしてハッキリと映像で見せられてしまっては、なおさらだ。
「キィィィッ! 悔しいざます〜ッ!」
「りゅ、龍太……」
客席の反応はそれぞれだ。
くしゃくしゃに顔を歪め、白いハンカチを噛み締めている久水。俺が落ち込んでいるのが気掛かりなのか、心配そうにこちらを見遣る矢村。
この競争の行く末に不安を感じているのか、唇を結んで顔を逸らしている救芽井。「なんてことはない、まだまだこれから」と言わんばかりに、澄まし顔で踏ん反り返る茂さん。
そして――さも当然の結果と言うように、冷めた目付きで成り行きを見つめている瀧上さん。
この競争が終わる時……今日という日が終わる時、みんなは――どんな顔をしているのだろう。俺の勝利を喜んでくれてるんだろうか。
それとも……。
『さて、もう気は済んだわね? それじゃ、第二課目「心肺蘇生法による応急救護処置」に移るわよ!』
そんな思いが、ふと脳裏過ぎる。次いで、それを遮るかのように所長さんの声が再び響いてきた。
あぁ、そうだ……まだ負けたわけじゃない。まだ、試合が終わったわけじゃない! うじうじ悩んでばっかりでどうする、しっかりしなさいよ一煉寺龍太ッ!
『まずは、それぞれ表示された場所へ移動しなさい。そこで試験を行うわ』
所長さんの指示がアナウンスされると同時に、マップデータに新たな黄色の光点が追加される。二回目のデータ受信ゆえか、ローディングはかなり早めに終わっていた。
「……おし」
俺は喝を入れる気持ちで、両膝を縮むバネのように曲げ――渾身の力で一斉に伸ばす!
コンクリート製(という設定?)の床がひしゃげるのと同時に、俺の体はカタパルトで打ち出されるかの如く、今まで以上のスピードで舞い上がった。
マップデータを見る限りじゃ、ここからかなり近いことだし――気合い入れがてら、ひ
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