第六十話 ヤン・ウェンリーのエコニア滞在記
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たら物価が上がったのでは?」
「前線部隊所属の少佐殿はご存じないかも知れませんが、
この星系では製造業が殆どありませんから、
物品は納入業者が他の星系から搬入するのですが、
その際、基準品納入を義務づけられています。
所が私が調べた限りでは基準品の型落ちや、アウトレット、よく似た類似品が納入されています」
「なるほど、中間でピンハネしている業者が居るわけですな」
「そうなると、納入業者を調べなければならないね」
「其処なんですが、この事態が起こった7年前というのは、
前所長コステア大佐と前会計係長ポートランド大尉が就任してからなのです」
「つまり中尉は、この不正に前所長と前会計係長が関与している可能性が有ると言うわけだ」
「はっ誠に遺憾ながら、この書類を見て気がつかない事はあり得ないと思うのです」
「どれどれ、ふむふむ、なるほど、はー、ヤン少佐これは勘づかない方が可笑しいですわ」
そう言ってパトリチェフが書類をヤンに渡す。
短なる数字の羅列に過ぎなくはないが、
それにかかる費用と品物が明らかに以前の物と違う書類である。
「と言う事は、コステア大佐とポートランド大尉が急に辞めたのもこれ繋がりかもしれないね」
「なるほど、いきなりすぎましたからな」
「この3人の中で以前から居るのは大尉だけだ、最近何か変わったことは無かったかい?」
考え始めるパトリチェフ。
「そう言えば、去年捕虜交換前に帝国が捕虜に救恤品を送ってきたのです。
その中身に463年物のワインが入っていたんです。
所が2袋に1本の割合でしか入ってませんでね、
配る時に面倒だった事ぐらいですかね」
「待って下さい、其れは可笑しいですね」
「中尉どうしたのかな?」
「はい、私が以前居たマーロヴィア星系の収容所では1人1本の配給が行われました、
駐留艦隊司令官ビュコック准将閣下が、
ネコババしようとした、収容所所長を一喝しまして、無事全員に配給されたのですよ」
「なるほど、本来1人1本なわけですな」
「いやあ、あの時のビュコック司令官の台詞は今でも思い出しますが惚れ惚れします」
「どんな台詞だい?」
「はっ、『仮にも自由惑星同盟軍に所属する将兵ならば誇りを持て、
捕虜に送られて来た救恤品を掠め取る盗賊まがいの行為をするなら、
儂が1人残らずマーロヴィアの太陽に投げ込んでやる』こう仰いました。
「ビュコック准将か、そう言えば准将も第二次ティアマト会戦に参加していたんだったな」
「少佐殿よくご存じで、閣下からは時折その話をお聞きした事もあります」
「へー其れでどんなはなしだい?」
「ヤン少佐、今は不正のことをしませんとだめですな」
「すまんすまん大尉、そうだったね。
中尉また今度聴かせ
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