巻ノ百十九 大坂騒乱その九
[8]前話 [2]次話
「口出しをされる」
「そして大坂の主としてですな」
「これまで通り振舞われ」
「采配も執られる」
「そうされますか」
「そうであろう、これではな」
戦になればというのだ。
「負ける、しかしそうなってもな」
「何とかですか」
「真田殿に後を託しますか」
「右大臣様のことを」
「そうしますか」
「うむ」
その通りだとだ、大野はまた答えた。
「そうする、よいな」
「わかり申した」
「それではです」
「兵を集める用意をしましょう」
「大坂の銭を全て使い」
「そのうえで」
「確かに寺社の普請で多くの銭を使ったが」
家康の勧めを信仰心の篤い茶々がそうしたことならと聞いてだ、家康にしては銭があるから兵を集めて戦を起こそうとするから先に使わせて戦をさせぬ様にと考えていたのだ。だがそれも途中でだ。
大坂にはまだかなりの銭がある、そしてその銭を使えばだ。
「天下の浪人で戦をしたい者達の全てをかき集められる」
「そうすればです」
「相当な数が集まります」
「今大坂にいる兵と合わせて十万」
「それだけの数になりますな」
「十万あれば」
どうかとだ、大野はこうも言った。
「それなり以上の戦が出来るな」
「幕府がどれだけの兵を出してくるかわかりませぬが」
「それでもですな」
「十万の兵があれば」
「この摂津、河内、和泉だけでなく」
「大和や摂津にも兵を進めてです」
そうしてというのだ。
「都にも行けます」
「そして水軍も用意すれば四国も」
「無論紀伊も攻められます」
「非常に大きいです」
「十万もの兵があれば」
「近畿を掌握も出来ましょう」
「そうなればです」
「天下もわからぬ」
「そうもなれますな」
「普通に考えばな、しかしな」
大野はその十万の兵を使っての戦のことを口々に話す周りの者達にだ、暗い顔になりまた話した。
「先程も言ったが」
「茶々様ですな」
「あの方ですな」
「あの方が口出しをされる」
「そうなることが間違いないですな」
「大坂城は一万の兵でも置けばな」
それだけでというのだ。
「攻め落せぬ、そこからどんどん攻めていけばいいが」
「若しもです」
大野の弟の一人治房が言ってきた。
「ここで、大坂城に篭りますと」
「十万の兵がじゃな」
「そうして戦いますと」
城の外に出ずにというのだ。
「そうなればです」
「敗れるな」
「城に篭ったままですと」
そこが例え難攻不落の城であってもというのだ。
「囲まれて終わりですぞ」
「その通りじゃ」
大野は弟に応えて言った。
「そうなってしまえばな」
「左様ですな、しかし」
「茶々様はな」
とかく茶々が問題だとだ、大野は言うのだった。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ