アネモネ〜園田海未〜
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くなかった。だから―――というわけではないけれど、少しは女性と仲良くなって大学生らしいキャンパスライフを送りたい。
......なんて夢を見て約一年、ようやく僕にそんな季節がやってきたのだろうか。
丁寧な言葉遣いに、一つ一つの動作から佇まい。
ほんのわずかに見せた年相応らしい女の子らしさ全てにおいて、一瞬で魅了され、気が付けばずっと彼女の顔ばかり見つめていた。
「......あの?」
不審に思ったのか女性は首を傾げて声をかける。
僕はすぐさま考えていたことを振り払い、先ほどポケットにしまっていたハンカチを取り出し、『落ちていたから交番に届けようとしていた』と付け加えながら差し出す。
「そうでしたか......ありがとうございます。本当に助かりました。私は園田海未と申します。貴方の名前は......?」
約45°の完璧なお辞儀とお礼の言葉を告げた彼女に、自分の名前と『どういたしまして』と言葉を添えて、彼女に返球した。
「......陽平さん、というのですね。いいお名前です」
園田さんにそう褒められて天にでも舞い上がるような有頂天気分だった。
園田さんは穢れの無い真っ白な微笑みを僕に向け、僕の名前を褒め、彼女の大切なハンカチを拾うという好感度アップのイベントを攻略できた。
今後の園田さんとの関係シュミレーションに励んでいると、彼女はゆっくりと口を開き、『今度また日を改めてお礼をさせてください』なんて提案してきた。
「貴方には感謝の気持ちでいっぱいです。陽平さんにとってはただのハンカチに見えるかもしれませんが、私にとってはこのハンカチに思い出があって......片身離さず持っていたいものなんです」
僕自身、その提案は願ったり叶ったりだ。
恩を受けたら必ず返すような彼女の優しさを無下にはしたくないし、この機会を利用して是非仲良くなれればいいなと思ってる。
だから僕は『では、お言葉に甘えて......』と返事をすると、また彼女は真っ白な笑みを浮かべてくれた。
───完全に一目惚れだった。
僕は彼女が見せる微笑みが忘れられなくて、挨拶を済ませて足早に去っていった後も脳裏には既に彼女の顔で埋め尽くされていた。
ついでに彼女の走り去る後ろ姿をこっそりスマホのカメラに収め、その写真をニヤニヤ眺めながらその場を離れた。
〜☆〜
本当に最高な一日だった。
ハンカチ拾った先には園田海未という可愛らしいお嬢様に会えるとは予想だにしなかった。
あの後、自宅に帰り、ふと考えたことをサイトで調
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