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儚き想い、されど永遠の想い
110部分:第九話 知られたものその十六
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でも。珈琲の味は」
「いいね」
 実際に飲みながらだ。こう話す義正だった。
「確かな味がするね」
「神戸には美味しい珈琲の店が多いようですね」
「多くなったと言うべきかな」
「どうしてでしょうか、それは」
「海のせいかな」
 海があるかだとだ。義正はこう話すのだった。
「そのせいかな」
「海があるとですか」
「横須賀でもそうらしいね」
 言わずと知れた軍港である。帝国海軍最大の基地の一つがそこにある。そこもまた大きな港でありだ。珈琲が有名な街なのだ。
「珈琲がよく飲まれるそうだね」
「そういえば呉や舞鶴も」
 こちらも軍港である。
「よく飲まれるとか」
「海には珈琲が合うのだろうね」
「海にはですか」
「そう思う。海には珈琲だろうね」
 また言う義正だった。
「とてもね。海軍も珈琲らしいし」
「そうですね。海軍は珈琲らしいですね」
「海軍からはじまったのかな」
 義正は考えながら話していく。
「それでかな」
「海軍だからですか」
「そうじゃないかな。海軍の人とも時々お話するけれど」
「どの方も素晴しい方ですね」
「はい、とても」
 こう話をしながらだった。義正はだ。
 真理とのことを考えるのだった。まず彼女に話してだ。それからのことを考えるのだった。


第九話   完


               2011・4・27

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