黒魔術教団
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!」
「こっちだよ〜!!」
「あんた、こんなところに1人で暮らしてるの?」
存在に気付かれていないと思ったのか、ハッピーたちがそう言う。すると、俺たちを見ていたジュビアさんが涙を溢しながらその場に崩れ落ちようとする。
「オイ!!どうした!?」
「ジュビア!?」
突然意識を失った彼女を抱き止めるナツさん。気絶しているジュビアさんの顔は赤くなっており、息が荒い。
「とにかく今はこの中に入りましょう!!」
「うん!!雨ですごい濡れてるし」
ジュビアさんの座っていたベンチの後ろに藁の屋根の家がある。俺たちは彼女をその家の中に運び着替えさせると、ベッドに寝かしつけた。
「すごい熱です」
「こんな雨の中にずーっといたら具合も悪くなるわよ」
おそらく風邪の症状だと思うけど、ジュビアさんはかなり疲労しているのか、目を閉じたまま動かない。
「ここってジュビアの家かしら?」
「ところどころに匂いがありますからね」
今さっき入ったばかりだとは思えないほど彼女の匂いが染み付いてる。おそらく彼女はここで1年間過ごしてきたんだろうと予測できる。
「うーん。少しグレイの匂いもするぞ」
「グレイもいるの?」
ナツさんの言う通りわずかではあるがグレイさんの匂いもある。でもかなり匂いは薄れてるし、姿も見えないんだけど・・・
「ジュビアはグレイ様と・・・ここに住んでました」
「「え!?」」
「2人で!!」
「すごいドヤ顔」
俺たちの読み通りグレイさんはここに住んでいたらしい。想い人と1つ屋根の下。ずっと一途だっただけにジュビアさんからすればそれは幸福以外の何物でもないだろう。
「一緒に食事をして、一緒に修行をして、一緒に仕事をして、一緒にベッドで・・・」
「「!!」」
「言わなくていいから!!」
「寝ようとして蹴り飛ばされたり」
「「「・・・」」」
ついに一線を越えたのかと思ったがやはりグレイさんはグレイさんでしかなかったようだ。でも、そう語るジュビアさんの顔が妙に嬉しそうだったのは一体なんでだろう?
「幸せでした。ですがある日・・・」
今でも直ってないという脱ぎ癖で服をその辺に放り投げていたグレイ。ですがその体に、黒い模様が浮かび上がっていたらしい。
特に彼は何も気にした様子もなくその日は過ごしたらしいけど、そのあとから異変が訪れたそうだ。
「その日以来1人で外出することが多くなって、帰って来なくなったのが半年前です」
「そんな・・・」
その事実にジュビアさん同様ショックを受けている天竜。もしかしたら俺もグレイさんみたいになっていたのかもしれないな。ただ運良く、早めに滅悪魔法を封印したから難を逃れていただけで。
「勝手に出ていくとかあの野郎」
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