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フルメタル・アクションヒーローズ
第106話 始まりの舞台、それは幻想の廃墟
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ップの北西で点滅している青い光点が――!

「……うっ!?」

 ――だが、救助対象者の元へ安易に行かせてくれるほど、この試験は甘くはないようだ。北西……つまり左斜め前方へ向かおうと、屋根の下敷きにされたかのように潰れている木造住宅を飛び越えた瞬間。
 隣のビルの上部が崩れ――瓦礫が降ってきた!

「龍太君ッ!」

 それと時を同じくして、救芽井の切羽詰まったような声が響き渡る。やはり「瓦礫のように見える」ことは幻覚でも、物が降って来ていること自体は紛れも無い真実のようだ。くそっ……松霧町に居た頃なら、火事になってたり脆くなってたりしてる建物の情報も入るから、こんな事態には滅多にならないんだがッ……!

 ――しかし、「データにない事態に対応してみせる」のも必要なスキルだと、以前救芽井に教わったこともある。
 空中に飛び出した以上は避けようもないし、このまま直撃すれば「救済の超機龍」といえども、ただでは済まされないかも知れない。……とは言え、こんなことで躓いてはいられないのも事実だ。
 俺は宙に浮いたまま体勢を変え、それに併せて周囲に「生存者」がいないことを確認し――迎撃に出る。

 ――お前までいちいちうろたえてんじゃねーよ、しょうがない娘だな全く。こんなまやかしに引っ掛かる「救済の超機龍」じゃ――

「……ねぇだろッ!?」

 空中で体を捩るように回転させ、それに釣られるように弧を描く足を、瓦礫に向けてたたき付ける。刹那、瓦礫「だったもの」は重々しい衝撃音に比例するように砕け散ると、あちこちへ四散してしまった。

 これが本物だろうが紛い物だろうが、「救済の超機龍」のポテンシャルをぶつけた胴回し回転蹴りの前には関係ない。「救済の先駆者」だとこうは行かなかったのかも知れないし、これを造ってくれた救芽井には感謝するしかないよな。

 そして、蹴りで崩れた体勢を安定させるために、空中で何度か前転するように身体を回転させ、スタッと着地する。次いで、再び北西部を目指し、松霧町でやっていた通りに建物から建物へと跳び移っていく。

 ――我ながら、実に「それっぽい」動きじゃないか。本場の救芽井や着鎧甲冑を所有してるプロ達に比べりゃまだまだだろうが、少なくとも最低限の動きは出来てきているはず。あの二週間の特訓の中で、ニューヨーク駐在のR型部隊の訓練を見せられたのは、無駄じゃなかったみたいだな。

「龍太ぁ〜っ! 行けるっ! 行けるでぇ〜っ!」
「龍太様っ! その調子でしてよーっ!」
「一煉寺龍太ッ! ひとまずスタートダッシュは及第点だが、油断はならんぞッ!」

 それに、二週間で詰め込んだ付け焼き刃の動きでも、多少の役には立つらしい。
 俺の特訓に付き合う形で着鎧甲冑の道を学びつつ、救芽井共々鬼のようなシゴ
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