3. 気持ちは、伝えられない
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と隼鷹を尻目に、『二人の初めての共同作業』とでも言いたげな北上が、球磨にナイフを渡した。ハルと球磨は二人でケーキを切り分け、そのケーキは私たちに配られる。
「ハルは自分を鼻から食べるクマっ」
「よ、よせッ!?」
「ハルは球磨からの愛のこもったプレゼントを、きっと鼻から食べてくれると信じているクマッ」
「愛がこもったものを鼻から食わせようとするなッ!!」
きっと甘えてるんだろうな……球磨はハルの形をしたマジパンペーストの人形をハルの鼻に突っ込もうと奮闘し、ハルはそんな球磨から自分の鼻を防いでいるが、顔はどことなく嬉しそうだ。昔からそんな気がしてたが、ハルはどえむの気質があるようだ。
「ねーねーハル」
「んあ!? なんだ川内!?」
「前から気になってたけどさ。ハルって、どえむなの?」
「なぜ!?」
「ふっふっふーっ。川内っ、よくぞ見抜いたクマっ」
「既成事実化するのはやめろッ!」
気付くよ。だって……
――私もずっと見てたんだよ?
……危なかった。喉まで出かかった。そんな自分をごまかすために、配られたケーキにフォークを突き刺し、そしてケーキを口に運ぶ。
「……おいしい」
久々に食べる提督のケーキは、とても甘い。……とても、甘い。
みんなでケーキを食べ終わった後、北上が一度店の奥へと姿を消した。私達が不思議に思っていたら、次にこっちに戻ってきた北上の手には、2つの赤い小箱が握られていた。
「はーいみなさまみなさま。しずまれい。しずまれーい」
「なんか水戸黄門みたいだな」
「ハル兄さんひどっ。……それはまぁ置いといてさ。これからがメインエベントだよー」
「いっちょ前に発音をネイティブに似せなくてもいいクマ」
「夫婦そろって妹の私にちょっとひどくない?」
軽口を叩きながら、北上が手に持つ小箱を二人に渡す。ケースを開くと、中にはおそろいのプラチナ色に輝く指輪が1つずつ、入っている。
「北上」
「んー?」
「これ……北上が準備してくれたクマ?」
「うん。師匠に教わってね。私が作った」
「……ありがと、北上」
「んーん。球磨姉とハル兄さんのためだからさ。北上さん、がんばっちゃったよ」
お礼は私の時に返して……と北上は言っていた。ひょっとしたら、北上にもいい人がいるのかもしれない。ハルも『任せろ。あいつは俺が超絶イケメンにしてやる』て答えてたし、球磨姉も『その時は任せるクマ』って言ってたし。
二人は指輪をケースから出し、そして互いの左手を取った。
――やめて……
見つめ合う二人の眼差しは、本当に優しい。皆の注目が指輪に集まる。
「早く! 早く通すのよ二人共!!」
「じゃないと一人前のれでぃーになれないわよっ!」
「く
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