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SAO−銀ノ月−
虹架
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に入る前に、《オーグマー》からメールを送っていたのも効いたらしい。

「リズには聞かれたくない内容だろうしな。ならメッセージでも贈ってくれれば……」

「う、うん! そうだね!」

 ……正確には、どうやって話しかけていいものか迷って、ついつい隠れてしまったのが正解だったものの。どうやら、リズには聞かれたくない内容だから、回りくどい気配を察させて呼び出した――と、ショウキはありがたく解釈してくれたらしい。そもそも本来ならリズに聞かれても問題ないし、話しかけにくいならメッセージを打て、とショウキが言うのも当然なのだが。

「……ショウキくんのせいだもん」

 ……彼には聞こえないように呟く。ついさっきまで絶好調だったのに、ショウキに話しかけに行く時だけが何やら気恥ずかしくてダメなどと、彼のせいに違いないという責任転嫁。もちろんそんなものを、目の前の怪訝な表情をした彼に聞かせるわけにもいかず、スッとその感情を胸のうちにしまいこんで。

「……ううん、何でもない。メールで言った通りにね、ひとまず解決しましたので! そのお礼って奴ですぞ?」

「そんな……」

「あ、あと伝言。スメラギさんから、次に会うまでにまともなアバターにしておけって」

「ぐ。余計なお世話……って、レインに言っても仕方ないな……」

 ただのお礼だけでは、独り言を聞いてもらった体になっている彼は聞いてくれないと、スメラギからの伝言も絡めてショウキに伝えていく。彼がどう思っていようと、レインが自己嫌悪でがんじがらめになっていた時に、背中を押して助けてくれたのは確かなのだから。

「そんなショウキ殿に、レインちゃんからお礼ついでのプレゼントですぞ?」

「これは……」

 そうしてお礼の本命である、一冊の書物をショウキへと渡す。それはいわゆる『秘伝書』と呼ばれるアイテムであり、オリジナル・ソードスキルを編み出した者のみが手に入れることが出来る、他者に自分が開発したOSSを使用させられるアイテムだった。

「初期アバターになっちゃったショウキくんに、何かの役にたてばいいかな……って」

「ありがとう。これで何か……出来るかもしれない。だけど、いいのか?」

 ただ、レインが編み出したOSS《サウザンド・レイン》は、魔法を絡めた複雑かつ偶発的に作り出された真にレインにのみ使うことを許された技であり、鍛冶魔法を使えないショウキでは十全に使いこなすことは出来ないだろう。それでも何かの役にたてば嬉しいということ以上に、自らが編み出したOSSを、この世界で誰かに使って欲しかった――ということでもあって。

「うん。わたし、《ALO》を引退しようって思ってるの。だから、さ……」

「引退……?」

「あ、引退って言ってもログイン頻度が減
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