虹架
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い自分への選手宣誓。使えるものは《SAO生還者》だろうとゲーマーとしての姿だろうと、七色のこと以外は何でも使ってやろうという決意。そんな昨日から考えていたことを言ってスッキリした虹架は、彼女の手を引いてロッカールームから飛び出した。
「む……」
そうしてレッスンも絶好調に終わって家に帰ってきていた虹架だったが、もちろん一日中ずっと好調とはいかないわけで。朝に起きた家族の一件からは、とてもいい調子で過ごしてきた虹架も打ち止めらしいと、心中で冷や汗をかいていた。
「むむ……」
イグドラシル・シティ。その商店街の一角にて、虹架――レインは、かれこれ十分ほど立ち尽くしていた。しかもただ立ち尽くしているだけではなく、あの浮遊城時代に必死になって最大まで鍛えあげた《隠蔽》スキルを使って、柱の影からある一点を見つめていた。
「むむむぅ……」
その《隠蔽》スキルの甲斐あって、町を行くプレイヤーたちには見えていないようだが、今のレインの姿は言い訳のしようもなくストーカーそのものだ。それはレイン本人も嫌になるほど分かっていて、どうして今日はさっきまで絶好調だったのに、最後の最後にこんなことになってしまったのか――レインは頭を抱えてしまう。
「……あっ!」
そうしている間にも、レインから用がある彼はどこかへ歩き出していた。すかさず《隠蔽》スキルを欠かさず追いかけるが、店から出てきた彼も何か急ぎの用事もあったのか、器用に人混みを避けながら商店街を急ぎ足で駆け抜けていく。そもそもレインよりもこの《イグドラシル・シティ》に慣れているために、すぐさまレインの視界を切るように曲がり角を曲がってしまう。
「ちょ、待って! 待ってってば……ひゃっ!」
――結論から言うと待っていた。見失うまいと走ったレインが曲がり角を曲がれば、すぐそこに待っていた彼に正面から衝突してしまって。ぶつかってくることは予想していたようだが、その速度までは予想外だったようで、彼は衝撃を抑えきれずにレインは尻餅をついて転んでしまう。
「えーっと……なんか、デジャブ?」
「……こっちの台詞だ」
昨日と同様、尻餅をついた状態から手を貸して貰って助けられると、すぐ近くに彼――ショウキの呆れ顔が見てとれた。声色も若干だが冷えており、リズと二人きりでの開店準備に水入りされたことは、おくびにも表情には出さないものの少しだけ気にしているようで。
「……ひとまず、ごめんなさい」
「……それで。メールの件か?」
恋人と二人でいる時を邪魔されてムッとするなんて、ちょっと可愛い――などと思いつつも、完全にお邪魔虫になってしまった自分が申し訳がたたず。そこは誠心誠意に謝っておくと、ショウキは手早く本題へと入ってくれる。喫茶店のバイト
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