20優人部隊突入開始
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す」
航法がしっかりしていた九十九は、正確に木星の方向を向いて敬礼した。
「雪菜、達者でな」
別れ際、自分よりも明人にしがみついて「アタシの皇子様〜〜、デヘ、デヘヘ」と懐いていたので、明人さえ生きて帰るなら、自分は死んでも構わないと悟った。
最後に残った爆薬の点火時間を最大遅延に設定して点火、コクピットに戻って瞑想し、先程仕留め損なった敵旗艦を認識後跳躍した。
推進装置まで破壊した旗艦は、航行不能にはなっていたが、居住区、戦闘区画は別構造になっていて、後ろ半分が吹き飛んだだけで艦橋は生きていた。
仕留めるなら敵艦隊の幕僚全てだと考え、鉄神は障壁で跳躍を防げられていない艦橋内に出現した。
「うわああああっ!」
「退避っ! 艦橋を分離っ!」
その士官は船を守るためにブリッジを切り離したのか、自分が逃げるために敵機が目の前にいる所から離脱しようとしたのか、脱出用の艦橋を切り離した。
「逃げ惑え、地球人、我らの祖先がそうさせられたように」
熱線を斉射して幕僚を焼き払ってやろうとしたが、ゲキガンストーム用のブラスターも破損していて発射できなかった。
そして幕僚がいたと思われる豪華なテーブルは、誰一人として残っていなかった。
「くそっ、仕留め損なったか、卑怯者め」
木連人の思考回路で、艦長が船を捨てたりするはずが無く、幕僚が旗艦を捨てるなど有り得ないと思ったのが間違いで、フクベ提督以下全員が、最初の爆発で真っ先に病院船に逃げ出していた。
鉄神は最需要鹵獲禁止兵器である、脱出は許されない。もう別の場所に跳躍する動力も時間もなかったので、九十九は満足して目を閉じた。
「女神様万歳、木連に勝利を」
最後の爆薬が着火し、旗艦の艦橋は跡形もなく吹き飛んだ。
「くそおっ、俺としたことが、手足を全部失うとはっ、これでは歪曲断層で敵の断層を破れんっ」
魔神の手足を使い切ってしまった元一郎。敵艦の中に退避して装填作業をしようとしたが、最後の足も跳躍の際に千切れて失ってしまい、装填できる場所がない。
照明も消えた敵艦内で、クレーンなどを使って頭部か肘、膝上に取り付けようかと思ったが、動力がなく動作しなかった。
「最早これまで、肉弾攻撃を行って女神様の御恩に報いるのみ」
魔神に背負わせている装薬に取り付き、時限信管の発火時間を調節し、敵艦に飛び込む準備をしている間に、鉄神の残骸を背負った電神が跳躍して現れた。
「月臣、弾薬をくれ。俺は弾を使い切った。お前は手足がない、いいだろう?」
電神は特別製と聞いてはいたが、それでも手足が全て揃い、装填された弾薬と予備弾を使い切って尚、無傷に近い僚機を見て嫉妬した。
口さがない噂では、この男は皇帝が産んだ皇子で、姫様とは異母兄弟の身でありながら愛されて結ばれたとも聞
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