20優人部隊突入開始
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両腕損傷、手甲を剥いで装填す」
もし生き残りでもいて、艦内でロケットランチャーを撃てるほどの蛮勇があれば、船もろとも無敵の鉄神を葬ることも出来たが、地級艦内にそんな危険物も人物も存在しなかった。
もう鉄神の両腕の爪は鈍り、装填部も裂けて爆薬を排出できないので次には腕を投棄する必要がある。
足は先程一本失った。自分の命の残りを数えてから、九十九は次の目標に向かって跳躍した。
「ゲキガンフレアー!」
秋山の雷神も短距離跳躍で合流し、攻撃を開始したものの、歪曲断層が搭載されていないので敵ディストーションフィールドを中和できず、力技で叩き込んでフィールド内に到達した所で掴んだ爆薬を使用、専用弾でもなく時限信管を作動させる回路もないので、爪で点火ボタンを押した瞬間に跳躍して逃げる。
「貫けっ!」
両腕と動力炉、外部装甲だけの機体で、腰下は最初から無く、跳躍と姿勢制御以外に推進装置すら無い機体だが、秋山は予備パイロットとして艦に残って無為に過ごすより、自殺機でも出撃できたのを喜んでいた。
「持ってくれよ、雷神!」
実体弾に弱いディストーションフィールドを破りながら、敵前での爆破作業を続ける。
対艦魚雷を落とすための小口径の対空兵器が雨のように降り注ぎ、左腕で守った爆薬にも当たる。大口径の砲を当てられればここで爆散するしかない。
神経を削られる作業なので大声で気合を入れてフィールドを破りきって、退避に失敗した瞬間に玉と砕けるが、そこは気にせず狂った笑顔で点火釦を押した。
「跳躍!」
幸い爪から離した爆薬は、跳躍空間にまで着いてこず、三次元で爆発した。
他のジンシリーズより少ない爆薬と装備で戦っている秋山機だが、三郎太機に至っては跳躍能力すら無い機体で艦隊と共に行動している。
背後からの銃撃で爆発するのを嫌い、コクピット前の腹に巻いている装薬から次の爆薬を出して握りしめると、秋山は次の目標に降下した。
「こちら雷撃隊、第二波攻撃を開始する! 優人部隊は跳躍空間に退避されたし!」
雷装した無人有人の小型艇が装填と転回を終了して再来した。声は掛けたがそんな長時間退避できる場所ではないので気休めであり、「今からお前たち諸共攻撃するが勘弁してくれ」という挨拶でしか無い。
「「「「了解」」」」
白鳥九十九は退避ついでに半壊した敵艦内で休養して、美味い果汁を飲み、軽い食事をした後、思い立って席を立ち、ハッチを開けて機外に出た。
「よくここまで戦ってくれた、感謝する」
満身創痍の鉄神は既に両手足がなく、創意工夫してみたが、機体の障壁を押し当てて点火後の爆薬を敵断層内に残して去るのは困難で、一度やっただけで機体が全損してしまった。
「父上、母上、これまでありがとうございました。最後の一発は自分のために使いま
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