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ラピス、母よりも強く愛して
17ピカチュウがんばりまチュウ
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倒され、土足で頭を踏み躙られたクソブサイクな表情まで見せ付けられる。
 こう言う演出なので、全員ここで腰を抜かして失禁し、泣き叫んで命乞いして、死の直前の本物の悲鳴を聞かされるユキナ。
 生まれて来て今までで最高の恐怖を与えられたピカチューは、ライチューに進化して、二度とこのような失態を犯したり、皇帝陛下、皇女皇子殿下に逆らうような不敬はしないと誓い、絶対に明人とラピス達に逆らえないよう心の根幹をへし折られて、一匹の従順なポケモンが作り上げられた。

 その状態でガッタガタ震え、恩赦により死の恐怖は無くなったが、それよりも級友たちの死の叫びで、また失禁しそうなユキナの前に明人が現れた。
「刑務官殿、皇女殿下よりのご下命です。女子生徒全員に対し恩赦が発せられました。勿体なくも賢くも」
 ユキナにも聞き覚えのある声が聞こえて、耳を塞ぐのをやめて牢の外を見た。
 明人が証拠の品である勅令を開いて読み上げるが「勿体なくも〜」の文節が発せられた後は、皇女、皇帝自身の言葉なので、刑務官達は踵を合わせて直立し、腰を90度に曲げて頭を下げてから勅令を拝領した。
「皇女殿下は死を賜る女生徒達に哀れみを示され、こう申されました。「その罪二等を減じ、親族にも罪を問わず、即座に開放せよ」と」
 頭を下げている刑務官と違い、ユキナはその勅令が白紙なのを見た。
 それはラピスは生徒達を見捨てたにも関わらず、明人が書類と勅令を偽造してまで級友や親友を救い、自分達を嘲笑ったはずの相手を「皇子の権限により赦免」したのを足りない頭にも理解させられた。
「ご下命、確かに頂戴致しました」
 本来、証拠品が手渡されるはずだが、下級の刑務官には勅令は手渡されず明人の懐に仕舞われ、ユキナに向かってイタズラ小僧の表情で微笑んだ。
 相手もラピス親衛隊隊士、優人部隊の制服を着ている人物の言葉なので、何も疑わずに勅令を信じた。
「ありがとうございますっ、ありがとうございますっ」
 先程土足で踏み躙られていた女生徒も、明人に向かって全力で頭を下げ、感謝の言葉を続けた。
「あ… 明人様、いえ、皇子殿下。わたくしだけでなく、他の生徒の生命まで救って頂き、ありがとうございました……」
 全身の穴全部から水分を垂れ流している無様なユキナも、どうにか感謝の言葉を紡いだ。
 そこで「皇子殿下」と言ったのが女生徒にも聞こえ、噂の中心、白鳥雪菜の見合い相手である影山明人とは、皇帝の愛人ではなく息子なのだと理解して、その話は解放後に即座に拡散して、問い詰められた雪菜からも事実だと伝えられた。
「いいんだよ雪菜さん、ご両親からも交際の許可を頂いたよ。これからは婚約者だ、そんな畏まった話し方はしないでいい、今まで通り「アタシの好みじゃないワ〜」って言ってよ」
「も、もったいのうございます」

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