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ラピス、母よりも強く愛して
17ピカチュウがんばりまチュウ
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下がって良い」と下知が出たので、明人との逢瀬の邪魔になると判断された連中は、頭と視線を下げたまま歩いて下がらされた。
「兄上、久方ぶりです、優人部隊に配属されてからは、逢えずに困っておりましたのよ」
「ああ」
 この明人も「お前と明人は血を分けた兄妹、我が胎内で共に育った双子である、よってお前たちは結ばれる事は無いのだ」「い、いやあああっ!」みたいな小芝居を見せられたので、ラピスとは結ばれないと知り、距離を取ろうとして九十九達と一緒に入隊した。
 親友からも「よし、俺の家に行って、妹をファックして良し」と言われたらしく、今後ユキナを伴侶として選ぼうと思わされている明人である。
「兄上は雪菜さんを選ばれるのですか? わたくしとの約束は…」
「言わないでくれっ、決意が揺らぐ」
 火星で共に育った記憶もあり、8歳まではチューしまくり、これからもそれが続き、いつか結ばれると思っていた二人だが、自分は皇帝が産み直したテンカワアキトのコピーで、受精卵を分割したクローンだとも知った。
 更にラピスの母は火星で自分の父と愛人関係に有り、その娘であるラピスは、血を分けた兄妹だと知って絶望し、手近にいた雪菜との見合いを承諾して、ラピスを忘れるために家庭を持って距離を取ろうとしていた。
 多少の不整合は記憶を調整され、ラピスを愛したまま雪菜と結ばれる明人。
 まあ家庭を持って子供ができれば情も移り、ユキナタソと赤ちゃんラブラブになるので問題ないが、束の間の悲恋を楽しんでいるラピス。
 このラピスは自分専用のアキトを与えられて、暇があれがキャッキャウフフ、パコパコと子作りまでしているので何一つとして心配していない、腐った女であった。
「ああっ、こんな事なら先程、雪菜さんを許さず、処刑してしまえばよかったっ、これからも兄上に近付く女は全てっ」
「やめろっ」
 抱きすくめられて、兄妹では決してしない抱擁を受けて泣くラピス。
「どうか、一夜の過ちでも構いません、今生で、たった一度の契りを兄上と……」
「だめだっ、駄目なんだっ」
 泣きながら抱き締めてくれる明人を感じ、薄衣の下でアヘ顔をして喜んでいるクソ女。
 当然出撃前に「たった一夜の過ち」を犯して、どこかの「日出処の天子」の、毛人(えみし)の妹の刀自古郎女(とじこのいらつめ)みたいに、入れ替わってでもシてもらうつもりだが、その時はある場所を新品に戻して置かなければならない。ピカチュウも騙すため、ラピス達の活動は続いた。

 白鳥家。
「明人君、いえ、皇子殿下。娘の不始末と今までの不敬をお許し下さいっ」
 ラピスと別れた後、九十九の父と母を訪ねた明人の前で、這い蹲って頭を下げる二人。
「いえ、手を上げて下さい、この件はご他言無用でお願いします。先程の伍長さんと、郷長さんにもお伝え下さい」

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