13ブラックアキト
[3/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
確保せよ!」
近衛隊、警察、軍では警報が鳴り響き、アキトのいる小学校に急行しようとしていた。
教室
「ラピス、やっと会えた」
「アキト……」
一週間ぶりの再会を喜び、固く抱き合う二人。
先程アキトを迫害していた子供たちは、幼いながらも自分のしでかした「国家反逆罪」の罪の大きさに気付き、腰を抜かして座り込んでいた。
「こんな事で会えるなら、もっと早くジャンプすれば良かった」
うるうるしながらラピスを見つめているアキト。
ラピスもこんな長期間に渡ってアキトと会えないなど、生まれてから一度も経験していない苦痛だったので、涙を流してしがみついていた。
「駄目なの、すぐに近衛兵が来てしまうわ」
各所では沢山の緊急自動車や垂直離着陸機が、サイレンを鳴らしながら発進して行った。市街地、住人の安全は完全無視、爆音を響かせて高度十メートルを飛行する垂直離着陸機。
「一般人には知られるなっ! どこに地球人が紛れ込んでいるかも知れんっ、周辺道路は全て閉鎖するっ」
装甲シャッターが無警告で閉鎖、事故を起こして道路を脱線する地上車、上空を飛行する飛行車も突然の飛行停止命令に驚き、埋まっている着陸場所に降り、別の飛行車の上や建物の上にも降りる。
「警察に先を越されるな、近衛隊の意地を見せろ!」
機動歩兵が轟音を上げて緊急起動し、長距離を跳ね跳んで市街地を破壊しながら移動する。
突然の戒厳令に泣き叫んで逃げる市民、破壊される家屋、車、信号、道路。
「第四出場! 首都の救急隊、消防隊は小学校に集合!」
「空襲警報、いや戒厳令だ、一般人は外出させるな!」
何やら話がどんどん大きくなって行き、首都の全ての地域、小学校の周りでも空襲警報が鳴り始めた。
防空シャッターが閉じられ、マクロスならトランスフォーメーションが始まるような警報が鳴って交通機関も全て麻痺。
シドニアなら重力警報が発令され、遠心力が働いていない地域では、人工重力が切られて固定されていない物が浮遊し、外部の照明器具も消灯、防空体制に入って赤い非常灯だけが残っていた。
「ラピス、俺と一緒に逃げよう」
「えっ?」
予想外の事を言われ、また変な妄想を始めるラピス。
(アキトと逃げる、愛の逃避行、駆け落ち……)
何故か北の大地で風雪に耐え、貧しくも慎ましく暮らしている二人。
髪を黒く染めて変装し、パートの帰りに寄ったスーパーの買い物袋を下げ、ボロアパートに帰ってきたラピス。
「ただいまっ、アキト」
追われている二人は転々と居場所を変え、定職にも就けず、次第に生活は荒れていた。
「お帰り、酒買って来てくれたか?」
酒とギャンブルに溺れるようになったアキトの体を考え、飲ませないようにしていたラピスは、静かに首を振った。
「何だって?
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ