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ラピス、母よりも強く愛して
12ラピス29号分割
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殺させない」って、みんなそれを忘れたのっ? これはアキトの願いじゃない、私達の勝手でアキトの人生を変えていいはずがないっ!」
「アキトと両親は無事です。今後木連に渡り、人類を滅ぼすために人類を嫌う教育と経験を積む事になります。これは当初の計画と何ら変更はありません」
「そんなのアキトじゃないっ!」
「いいえ、私達のアキトはヒトが嫌い、人類がとても嫌いだった。全てを憎み、平然とヒトを殺して進み、攫われたミスマル・ユリカを追う悪鬼でテロリスト、プリンスオブダークネスこそが我らのアキトなのです」
「ああ〜〜〜っ!」
 長い間、子供生活と共同生活を続け、優しいアキトこそがアキトだと書き換わっていた子供ラピス。
 しかし大半のラピスには、何の罪もない一般兵士まで殺戮するアキトが、オリジナルのアキトだった。
 絶望した子供ラピスは膝を着いてその場に崩れ落ちた。

「では判決を言い渡します、29号、貴女の右半身を木星に追放します」
「えっ?」
 すでに解体か消去を覚悟していただけに、この決定には意表を突かれた。
「半身を追加した後は、ラピス8号の指示に従い、アキトを守りなさい。左半身は今まで通り、ここに残るアキトを守るように」
「どうして?」
「リンクを再開しなさい、貴女は自分の命も顧みず、アキトの願いを叶えようとしました。これは誉められる事はあっても、罰せられる行為ではありません、製造から8年で、よくそこまで成長しました」
「そんな…」
「貴方が身を裂かれる思いをしているのは分かります、これからアキトは知らない世界へ行き、不安な思いをします。私達としても、新しく自分を製造し、木星のアキトを任せるのは不安です、貴方の記憶だけでなく、体の半分も同行しなさい」
 オヤジギャグなのかBBAギャグなのか「身を裂かれる思い」だけに、左右を割って送るらしい。
「でも、貴女は考え違いをしています、もし貴女が消えればアキトはどう思うでしょう?もっと自分を大切にしなさい」
 自分がいなくなった時、アキトがどう思うか想像してみるラピス29号。
(アキトにあんな思いはさせられない、私ほどでは無くても、ユリカを探していた頃のような気持ちだけは……)
 さらに、自分が消えた後、自分に似た「私」がアキトの傍にいる状況を思い浮かべた。
(アキトは気付くだろうか? いいえ、全く同じ顔と記憶を持った私がいれば、疑問を抱く筈が無い)
「今後木連の貴方は、29Rと呼称されます」
 どこかの車か、エンジンの形式のような名前だった。
「では29R、私からの最後の指令です。これからもアキトを守って、必ず木星のアキトと結ばれなさい。既にアキトを産み育てた私達とは違う私。アキトと恋をして、愛し合い、その遺伝情報をアキトの遺伝子と掛け合わせ、別の亜種、アキトとの子供を産み
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