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ラピス、母よりも強く愛して
10ユリカ引っ越し
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カは絶望的な表情で恐れおののいていた。
(まさか? やっとにげられるとおもったのに!)
「そんな、とおくてあぶないから、むりしないで!」
 何とかラピスが来るのを止めさせようと、必死になるミスマル大佐のお嬢さん。
「そうね、地球には行った事が無いからイメージできないし(フッ)、宇宙に出たら大変だから、ちゃんと船に乗って行きましょうか」
 ラピスはそう言っていたが、途中一度だけユリカを見て、口の端が笑ったのには気付いた。
(うそだっ、ちきゅうに行こうとおもったら、ぜったい行けるんだっ!)
 アキトと会わせない為に三人では来ないが、一人ならいつでもジャンプしてくるに違いない。
(私がしゃべったら、ママがしんじゃう!)
 母親を助けて貰ったと信じているユリカだったが、実際にはユリカの母も、命と引き換えにユリカ監視の道具に成り下がっていた。

『お客様にお知らせします、14時発、フォボスポート行きシャトルに搭乗のお客様は……』
 搭乗のアナウンスがあると、同僚との挨拶を済ませたコウイチロウさんが歩いて来た。
「さあ、そろそろ行こうか、ユリカ」
 ユリカパパに急かされ、発着ゲートに向かうミスマル一家。
「元気でな、ユリカ!」
「バイバイ、ユリカちゃん!」
「さようなら」
「うん、さよなら、みんな」
 後ろからラピスの刺すような視線に追われ、足早にゲートを越えて行。
 残りの二人は、その姿が見えなくなるまで、いつまでも手を振っていた。
「寂しくなるわねユリカ、でも地球なら、もっと沢山お友達ができるわよ」
 何も知らず、元気の無い娘を励まそうとしている母だったが、ユリカは以前のような天真爛漫な娘では無く、長年の脅迫といじめにより、誰も友達が作れない気弱な子供になっていた。
「うん」
 それ以前に、友達が出来てうっかり話してしまい、母親と自分が死ぬよりは、いつも黙って誰とも近付かない生活をするのが一番安全だった。
 これからもまた、ユリカの人生は大きく変わろうとしていた。

 税関にて
 ユリカがペットロボットを抱えて通った時、アラームが鳴って係員に呼び止められる。
「お嬢ちゃん、ロボットを連れて行くなら、バッテリーを外してくれないかな、でないと地球に着くまで預からないといけないんだ」
「え?」
 テロ防止の為、火星でも電池の入った物は、機内に持ち込めないようになっていた。
「あ、あの、さっき、おともだちにもらったばかりだから、しらないの」
 もうこの程度でパニックを起こし、泣き出すユリカ。
「ユリカちゃん、僕のバッテリーは背中にあるんだ、おじさんに取って貰おうよ」
 突然アキトの声で喋り出すリット君。
「え? うん」
 その後も、ユリカのピンチは、リット君が助ける事になる。
 魔法のアイちゃんと一
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