10ユリカ引っ越し
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し、選びぬかれた善良な人類だけが僅かに残される手筈になっていた。
(私は貴方を苦しめるモノを許しません、それが例え彼の両親でも、テンカワ・アキト本人であっても)
永い時を共に過ごし、ユーチャリスやオモイカネ達にとっての一番は、ラピスになっていた。
引っ越し前夜
予定通り、アキトが8歳の頃、ご近所のユリカちゃんは、両親の都合で地球に引越しする事になった。
ユリカの犯罪歴、家出、虐待などなどは軍とコウイチロウが揉み消し、ユリカの母とは離婚の話し合いを始め、一旦地球に帰って身辺の整理をして、出世を選ぶか、問題の多い家族を切り捨てるかの選択が行われた。
引越しが決まった後、ラピスに呼び出されるユリカ。
「誰も信じないでしょうけど、もし地球でボソンジャンプの事や、私達の秘密を喋ったら、貴方のママは病気が再発して助からないでしょうね、それと貴方は、水星の上で黒焦げになって、文字通り蒸発するのと、冥王星で氷漬けになるのと、どっちがいい?」
「おねがいっ、ママをころさないでっ、しゃべらないから、ゆるしてっ、もうゆるして〜!」
ラピスに抵抗できないユリカは、そう言って泣くしか無かった。
「フッ、人聞きの悪い事言わないで、誰も殺しはしないわ、私達の力の証拠を消していくと、貴女のママを治したナノマシンも消さなくちゃならないのよ、勘違いしないで」
そのまま泣きながら帰って母親に問い詰められても、「脅迫された」とは言えず、「お友達とお別れして来たの?」と聞かれた時に、うなずく以外何もできなかった。
出発当日、空港
「ここでおわかれだなユリカ」
ユートピアコロニーに併設されている、空港のゲート前で、別れの挨拶をしているアキト。
「うん……」
アキトの横にいるラピスが気になって、お別れのキスどころか、握手さえ出来ないユリカ。
「ユリカちゃん、これあげる、あたしたちだと思ってもってて」
「ありがとう、アイちゃん」
アイちゃんから、ぬいぐるみを渡される。ラピスからだと怖くて受け取れないが、相手がアイちゃんだったので、油断して貰ってしまった。
「アイちゃんの大事な「ペットロボット」よ、大切にしてあげてね」
「うん」
外側は既製品のおもちゃだったが、中身は精巧な部品に入れ替えられたペットロボット。
それはユリカを監視し続け、夜中には寝ているユリカの上に乗って金縛りにしたり、ホログラフで幽霊を出したり、常時ユリカを恐怖のズンドコに叩き込む為の刺客であった。
もちろん、ロボットの製品名は「リット君」で、お尻の部分には「乙姫むつみ」もとい、「イネス・フレサンジュ」と書いてあり、温泉で洗った時にだけ浮かび上がる、おしろい彫りになっていた。
どうやら今後、主人公の声が同じなのをいい事に、女子専用温泉下宿なでしこ荘で
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