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ラピス、母よりも強く愛して
10ユリカ引っ越し
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中古で我慢するか」
「いやああっ、さわらないでっ!」
 ユリカの紋様が光り、消耗しないチューリップクリスタルのペンダントを渡されていたので、見よう見まねでボソンジャンプで逃げるが、ユリカを掴んでいた漢を巻き込んでしまい、故意ではないが人生初の殺人を犯した。
「えっ? あっ、いやあっ」
 ラピスやアイが、この手の男を始末して、「石の中にいる!」にしてやったのを何度か見て来たが、まさか自分が同じことをする羽目になるとは思わず、証拠品を残したまま走り去った。

 後日、テンカワ家
 テンカワ夫妻に相談されているラピス(母)。
「以前お話しした通り、ネルガルは遺跡の独占を図ろうとしています」
「ですから、私達は遺跡を世間に公表して……」
 テンカワ夫妻はまた、遺跡の存在を公表しようとしていた、それが「人類のため」だと思っているのか、名誉欲によるものかは不明だったが、アキトにとっては迷惑な話だった。
「ええ、「私達」もご協力します、報道機関や学術誌など、顔の効く所に当たって見ます(ニヤリ)」
 表では協力を約束しながら、笑っているラピス(母)、ネルガルに対抗して発表してしまう事もできたが、遺跡を守っているラピス自身がそれを許すはずも無かったので、アキトの両親は双方から狙われる身となった。

『ヒトとは、大義名分さえあれば、どれだけ愚かな事でも平然と行う生き物です』
「やめて、アキトの両親を悪く言わないで」
 静かでも、怒気を含んだ言い回しに、しばし沈黙するユーチャリス。
『彼らもまたテンカワ・アキトと同じく、誰かの為なら自分の命をも投げ出す覚悟があるのでしょう、しかしそれは、残される子供の事を考えての行動なのでしょうか?』
 テンカワ一家の困った行動パターンを思い起こし、顔を歪めるラピス。
「多分、何も考えてない、アキト達は考えるより先に動いてしまうのよ」
『彼にしてもそうです、残される貴方の事を考えれば、軽率な行動は取れなかったはずです』
「いいの、もういいのよ」
 その話で少し胸のつかえが取れたような気がしたラピス。
 これまで自分はアキトにとって、ユリカやルリよりも下の存在だと思っていたが、アキトに限って誰かを助ける時、分け隔てをするとは考えられなかった。
(私は捨てられたんじゃない、誰も知らない場所に置き去りにされた犬や猫じゃない)
 それでもまだ心のどこかでは、捨てられた子犬のように、泣きながら飼い主を探し求める自分がいた。
(早く気付いて下さい、誰もが貴女を大切に思っていた事を、彼が貴女をより良い場所へ導こうとしていた事を)
 何かあるたびに、ラピスの心の傷を塞ごうとしているユーチャリス。
 しかしラピス達の決済と、オモイカネ達の計算結果では、人類に未来は無く、この時代、この軍事力の違いを利用して抹殺
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