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ラピス、母よりも強く愛して
09学校
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高価な物を持ってきた事をしかる教師。
「ごめんなさい、それでね、みつかるまえに今から行くって、さっき出ていったの」
 養母と姉の教育が悪かったのか、生まれつきの遺伝なのか、アイちゃんはとても性悪な子供に成長していた。
 補導員に連絡し、駅か現地で子供だけの集団がいれば、補導するよう連絡しておく教師、各家庭にも連絡してみるが、子供同様、連絡が着くまともな家は無かった。

 放課後、砂漠にて
「あとどれくらいだ?」
「さあ、はんぶんはきたんじゃない」
 もう涙も枯れ果て、足を引きずるように歩いている一同。
「もうだめ、しんじゃう」
「バカ、あきらめんな、ほんとにしぬぞ」
「ちょっとあそこで休もう」
 何とか岩場を見付け、影で休む少女達。
 砂漠超え30キロなど、子供には不可能な距離で、何一つ見えない荒野に放り出されると絶望して諦めるのに、目に見えている目標が何とか足を運ばせた。
「み、みず……」
 すでに舌まで渇き切って、声を出すのも苦しい子供達、そこにボソンの輝きが起きた。
「ねえ、お水ほしい?」
 来た時と同じく、突然現れたアイちゃん。
「なっ! てめえ、ふざけやがって!」
 掴み掛かろうとした少女だったが、水のボトルを下に向け、ドボドボと捨てる所を見せられ、こぼれた水に飛び付いた。
「あっ、ああっ、水が、水がっ」
 それでも砂に吸い込まれて行く水を口に含み、ジャリジャリと味わう。
「お水ほしい?」
 数歩下がって、もう一度問い掛ける悪魔の妹。
「くれよっ、水くれよっ!」
「だめ、おねえちゃんが言ってたの、「いじめられたときは、あいてがひざまづいて、泣きさけんでゆるしをこうまで、ゆるしてはだめ」って」
 大した教育である。
「なんだと…」
「またかえろうかな、みんなしんだら、おはか作ってあげるね」
 その周囲は干乾びた「お供え物」や「はみ出した服」がある所から、岩場では無く、ラピスやアイちゃんが建てた墓らしい。
「「「「いやああああっ!」」」」
 後ろでは残りの4人が、早くも跪いて許しを請い始めた。
「ゆるしてっ! もうしないから!」
「おねがい、もうかえらせて!」
「うえぇぇん!」
「たすけて、たすけてぇええ!」
 渇き切って、霞んでいたはずの目から涙がこぼれる。
「お、おれも、もうしないから、ゆるしてくれ」
「本当?」
 まるでラピスのような、冷たい目で見下げる悪魔。ジャンプの前のように、またペンダントで相手を探る。
「後ろの4人、ここにきて」
 パシリと思われる1人と、気合の入っていない3人が呼ばれた。
「はい、お水あげる」
「「「「あああっ!」」」」
 泣きながら水のボトルを受け取り、ゴクゴクと喉を鳴らして飲み始める4人。
「てめえらっ!おれにもよこせっ」
 
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