09学校
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きに履き替えようとすると、アキトの靴箱の中からは沢山のラブレターがこぼれ落ちた。
「アキトってモテるのね、私なんか出る幕じゃないって感じかしら?」
わざと平静を装って、先に教室に行こうとするラピス。
「あっ! 待てよ、何怒ってるんだ?」
「別に怒ってないわっ」
床にまで散らばったラブレターをかき集め、ラピスを追いかけるアキト。
「待てったら!」
正面に回ったアキトの前には、涙ぐんだラピスが。
「怒ってなんかないよ、ただ、悲しいだけ……」
「ラピス…」
いつも丁寧に断りの手紙を書いたり、友達と一緒に告白しに来た相手には、何も悪くないのに深々と頭を下げて断っているアキト。
優しいはずのアキトに、いつも辛い思いをさせている自分も許せなかったが、「他の子とも付き合っていいよ」とか「一度だけでもデートしてあげて」とは、口が裂けても言えない自分は、もっと許せなかった。
「うっ、ごめんなさいっ、私なんかのために、いつも辛い思いばかりさせて」
ついに肩を震わせて、自分を抱くようにして泣き出してしまったラピス。
「何言ってるんだ? 辛いだなんて、お前だって俺と付き合ってるからって、女子の友達なんて、誰もいなくなったじゃないか」
最初からいません。
「みんな、口もきいてくれないんだろ(自分から)、だったら、俺の答えはこうだっ!」
ドサドサッ!
まだ封も切っていないラブレターを、近くのゴミ箱に捨ててしまうアキト。
「あっ!」
(私、喜んでるっ、アキトがあんな酷い事したのに喜んでる、きっと私みたいに「あの場所でいつまでも待ってます」って書いてあるはずなのに、他の子が一杯泣いちゃうのに、私ってやっぱり酷い女なんだわっ)
「ひどいよ…… アキト、みんな一生懸命書いたのに、勇気を出して手紙を出したのに、読んであげないなんてっ」
「いいんだ、俺はお前だけだから、お前一人だけだから」
そう言いながら、朝の込み合う学校の玄関で抱き締められ、最後に残っていた心の壁が、ガラガラと音を立てて崩れて行くのを感じた。
「あっ!」
(もうだめ…… アキト以外なにも見えない、なにもかんがえられない)
妄想終了
「てめえ!ふざけてんじゃねえぞ! ひとのハナシをききやがれ!」
せっかくトリップしていたのに、いい所で現実に引き戻され、機嫌が悪くなる。
(ああ、やっぱりアキトを独占したら、こうやって大勢の女子に復讐されたり、女友達なんか一人もできなくて、アキトの名前で呼び出されて喜んで行ったら、男が大勢待っていてレ*プされそうになるのね、でも勘違いしないで、この体はアキトだけの物なのよ)
勘違いしているのが自分だとは、気付いていないらしい。
「そう、貴方達、紙の自然発火点は知ってる?」
辺りを見回し、突然関係無い
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